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夏休みの宿題の最大テーマ『読書感想文』!今年の中学生の読書事情

夏休みが終わった。若者の活字離れを嘆く声が耳の奥にこだまする。夏休み中の彼女とのデート中の話題のうち約三割は中学生の読書感想文だった。

今年は約40人分の読書感想文を手伝うことになった。去年までは、学校の指定する課題図書を読む中学生が多かったが、今年の読書感想文は例年と異なり一味違った題材だった。

感想文は原稿用紙4~5枚書かなければならない。相談に来るときは提出日の数日前なので、本の選び直しするわけにもいかず、持ってきた本で読書感想文を書いてもらった。

読みやすい本って・・・

一番多かったのが、『名探偵コナン』『ドラゴンボール』『ワンピース』『銀魂』『イナズマイレブン』『ナルト』といったコミックを小説化した本だった。驚いたことに、学校で毎朝の読書時間でも、その本を読んでいる。

普段読んでいる本だから、悪びれることもなく、読書感想文の題材として選んで持ってくる。学生達はコミックで既に読んでいるので、小説を飛ばし読みしても内容を理解している。何度も手に取ったのだろう。本もボロボロになっている。

もう一つ、絵本を持ってきた中学生が二人いた。全文で8000~10000文字だ。30分あれば読める。寝る前にパラパラと眺めれば読書終了だ。活字を追いかけなくても絵や写真が物語を語っている。活字から情景を描くのでなく、絵や写真を見て活字を確認している。

興味のある本って・・・

サッカーのルールブックを持ってきた生徒が一人いた。コミックの小説本と同様に悪意があるわけではない。生徒達から見るとコミック小説本がOKなら、200ページ以上の本なら全部OK、なのだろう。

ジャンル別に圧倒的に多いのがSFファンタジーだ。小説応募でも一番投稿数が多いジャンルだ。若者の嗜好で一番のジャンルなのかもしれない。タイムマシン、魔法使い、魔法の杖、姫、ドラゴン、新しいマシンが登場する。冒険があり、最後に主人公が戦いで勝つ。そんなストーリーだ。現実離れした世界を描いている。

読書感想文を書く前に、あらすじと印象に残った場面の二つを聞くが、聞かずとも想像できる。あとは印象に残った場面から学べることと、自分ならどんな世界を描き、何をするかをまとめれば感想文は完成だ。トップクラスの成績の学生も夢の菓子製造機の話だった。

伝記や名作は古い

今回、持ってきた人が誰もいないのが、伝記と名作だった。個人の伝記は数年前から皆無だが、それでも現役スポーツ選手のエッセイは去年まで数人いた。今年はスポーツ選手のエッセイもゼロだった。好きなスポーツの名選手の言葉は一過言含み惹かれる生徒がいるものだと思っていたが、自分は自分と割り切っている。

または、もっと簡単に読める本の方を選んでいる。去年は『坂本竜馬』、一昨年は『ウォルト・ディズニー』の伝記を題材に選んだ生徒が各一人いたが、とうとう今年はゼロになった。古くから名作と言われる本は皆無だ。

DVDで観た本を選ぶ

コミック小説、SFファンタジーも含め、現在圧倒的に多いのが、映画化・DVD化されている本だ。読む前から、あらすじは知っている。前述のコミック小説を除けば『ハリーポッター』『魔女の宅急便』『モンスターズインク』『シュレック』などが挙げられる。

超短編を選ぶ

文庫本で3ページくらいの短編を持ってきている学生が3人いた。短編集と呼ばれる文庫本だ。これも30分ほどで読める。短編の中から一番面白かった短編を選び、あらすじと面白い点をヒアリングして書く。

短編になると5場面くらいしかない。それぞれの場面につながる状況が説明されている。選んだ1場面を、客席の目、主人公の目、脇役の目から意見をヒアリングし文にまとめていく。最後に、自分に置き換えて考えをまとめれば完成だ。

若者の活字離れが言われ始めて久しい。読書感想文の手助けをしていても、30分~1時間で読める本を選ぶ。コミックの小説本を選ぶ。動画が配信されているものを選ぶ。

言葉の裏を読めない。情景が描けるから読むことができるが、言葉から情景が脳裏に描けない。先々が心配だが、不思議と高校生・大学生になり読解で苦労することは少ない。高校入試をめざし受験生になると問題として相当な量を読みこなすことになるからだ。

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