超優秀な部下を持ってしまった場合の目から鱗的な対処方法とは?
優秀な人材というのはどの組織にもいるものですが、そんな人材があなたの部下になってしまった時、あなたはどのような対応をするでしょうか?
「優秀な若手が入ってくれれば、自分のチームもさらに戦闘力が増す。力強い後輩が入ってきてくれて、頼もしい限りです」とこのような余裕の弁が吐ければ良いのですが、往々にして人間は、自分よりも優れた能力を持つ人間を、潰してしまったり遠ざけてしまおうとするものです。
テレビのドラマでも、能力の無い上司と優秀な部下との軋轢を描いた作品が良く作られますが、それもこんな「やっかみ」ともとれる人間心理に同意する人が多いから作品として成り立つわけですね。
でも、少なくともあなたはそんなみみっちい上司ではないはずです。周囲から尊敬を集める人材だからこそ今の地位があるわけで、少々能力のある若手が入ってきても、「ドーンとぶつかってこい!」とばかりにあらゆるものを受け止める人間的な大きさがあるはずです。
…。とここまではちょっと理想論を語り過ぎてしまったかもしれません。「少々自信はあるけど、そこまでの理想の上司ではないですよ」というのが偽らざる所かもしれませんね。
優秀な人材、優秀な部下ほど制御が難しいものですから、その対応方法の処方箋は持っていない方が普通かもしれません。
良い機会ですので、今回は皆さんと一緒に、その「優れ過ぎているもの」の取り扱い方法を考えていきたいと思います。
こうすればいい、優秀な人材の育成方法
優秀な人材があなたの部下に付いたならば、今までには無い苦労を背負い込む事になるかもしれません。
今までは部下にモノを教える事で、様々なアドバンテージや権限を潜在的に部下に植え付ける事ができていたかもしれませんが、優秀な部下にはそのような手法を取ることができません。
見積もりを頼めば、お客が物凄くお得感を持ってしまえるようなトンチの効いた見積もりを作ってきますし、提案書を書かせれば、自分にはとても描けないようなビジネスプランを理路整然と書いてきて、「こんな提案、受け入れない会社があったら、その会社に問題がある」とコメントをするのが精一杯な状況になるでしょう。
出張に行くので「ついで訪問の企業リストを作ってくれ」と注文を出せば、まったく理に適った流れるようなアポイント表を提出してきて、上司のあなたは「グーの音も出ない」といった状況にもなるでしょう。
普通の部下であれば、一点や二点は注文の付け所のある仕事しかしてくれませんから、少々イラっとさせられつつも、「ここはこうするべきだろう?」と指導をすることで、部下にも周囲にも自分が上の立場であることを認めさせる事ができていましたが、優秀な部下は上述のような「模範以上の解答」をガンガン提出してきますから、その手法は通用しません。
そのような時には、どういった態度で相手に接すれば良いでしょうか?答えは簡単です。部下が自分よりも優秀だと判断した時には、もうその成長を「邪魔しない」というスタンスを明確にして振る舞うようにすれば良いのです。
「え?そんなことなの?」と思うかもしれませんが、これって実は、思っているほど簡単な事ではないんですよ。
人間、特に男社会というのは上下関係や指揮命令系統を厳密にシステム化したがる傾向にありますから、どう優秀であっても、立場上は自分よりも下である人間は「支配しておかなくてはならない」といったおかしな強迫観念に捉われてしまうのが普通です。
その観念を払拭しながら、好きに泳がせておくというのは実は非常に困難な事で、これができればそれは一つのスキルとでも呼ぶことができるのではないかと私は考えるほどです。
しかし、困難であっても「優秀な人材は、その成長を邪魔しないようにする」というスタンスで居続ける事で、周囲はあなた自身を再評価するようになってきますし、そもそもが優秀な人材ですから、部下自身もあなたのそのようなスタンスに対しては、感謝の念を抱くようになるものです。
大リーグのイチロー選手の若い頃、まだ世に出る前の話で、その才能を見抜けずに支配下に置き続けようとした土居監督と、そうはせずに自由にやらせた仰木監督の管理者としての能力が良く比較に出されてきますが、この評価はまさに優秀な部下を持った時の上司が取るべき態度を分かりやすく示唆してくれているものと理解する事ができます。
出世で部下に追い越されたり、ポストを先に奪われてしまうことはご自身のプライドの問題からも許せない事かもしれませんが、優秀な人材というものは必ずその能力を身染める人間がいて、自然に上に上にと引っ張り上げられていくものです。
相手の能力を尊敬し、その成長を邪魔しないでおく方が後には自身の評価も高まるものですから、この高度なスキルについての話も、どこか頭の片隅にでも置いておいて頂くと良いかと思います。