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【転職が頭をよぎったら】読んでおきたい国発表の資料

アベノミクスの恩恵が中小企業までに行き渡るのは来年頃か…との声もあります。この夏は、一部の大企業での一時金であるボーナスが上がっただけ、という現実も。

「この先、どうなることやら」と考えているサラリーマンの悲鳴があちこちで聞かれます。目に見えて上がらない賃金、サービス残業の嵐、いつになったら一息つけるのか―。

(筆者も、記者という不特定の時間に取材に駆けつけなくてはならないという特殊な環境に置かれていたため、「36(さぶろく)協定」なるものに署名をさせられ、残業手当などほとんどなく、休日もつぶしながら働いてきました)

こんなとき、ふと「転職でもしてみるか」と考えてしまうもの。流行語ともいえる「ブラック企業」という言葉ですが、転職が頭をよぎった瞬間、ふと考えた会社が「ブラックではないか」と考えがちですよね。

さて、こういう時にはちょっとばかり視点を高いところに持って、俯瞰してみてはいかがでしょう。業界単位で見てみるのです。

転職を考えている業界を数字でばっさりと切ってくれているのが、厚生労働省の「各種統計調査」のページです。日ごろは企業単位でしか見ていなかった物事を、広く見せてくれます。これから、読み方の具体例をお教えします。

離職者は多くないか

これは「平成24年雇用動向調査結果の概況」で見てみましょう。入職率(1月1日現在の社員を分母とし、入職者を分子とし、それに100%をかけたもの)と離職率(入職率と同様の計算式で離職者を分子とする)が業界別に表示されています。

群を抜いて入職率・離職率ともにダントツに高いのが宿泊業・飲食サービス業。ついでサービス業。お次は生活関連サービス業・娯楽業です。

いかにも入れ替わりが激しい業界ということが見て取れます。一方、手堅く入職率が離職率を抑え、伸びているのが医療・福祉。

何らかの形で雇用調整をしていないか

これは「労働経済動向調査」で見ます。今年8月に発表された「結果の概要」を見てみましょう。雇用調整の方法は業界により様々なやり方がありますが、いずれにせよ雇用調整(残業を制限したり、パートを解雇したりなど)しているとやはりイメージはよくありませんね。

今年の7~9月の雇用調整実施予定を見てみると、昨年同期の実施実績よりもダントツの一位で下げたのは建設業。続くのは卸売業・小売業と生活関連サービス業・娯楽業。雇用調整実施予定を上げてしまったのは、不動産業・物品賃貸業。

中途採用に意欲的か

これも、同じく「労働経済動向調査」で見てみましょう。今年7~9月に中途採用を実施する予定であるとした割合が、昨年同期よりもアップしている順に、

①生活関連サービス業・娯楽業
②運輸業・郵便業
③不動産業・物品賃貸業

―の順です。これは、先の「入職率・離職率」ともリンクしていますから、やはりこの3業種は人材の出入りが激しいものと推測できます。

既卒者でも新卒者と同様に応募できる

これも同じく「労働経済動向調査」で見ていきます。応募受け付けした既卒者の上限年齢が業種ごとに記されています。”自分の売り時”の粗方の目安になってくれるかもしれません。

~24歳で高いのが①医療・福祉②サービス業③宿泊業・飲食サービス業―の順。25~29歳で高いのは、同率①情報通信業と金融業・保険業②卸売業・小売業③学術研究・専門技術サービス業。30~34歳では、①生活関連サービス業・娯楽業②建設業③宿泊業・飲食サービス業。

あまり考えたくない、死亡原因における「自殺者」の占める割合

なんと、これも業界別にまとめられてあります。この項目については「平成22年度 人口動態職業・産業別統計の概況」で見ることができます。

全死因を8区分に、産業別にまとめています。これを見ると、男性の自殺率は①公務②複合サービス事業③電気・ガス・熱供給・水道業―の順位。女性の場合は、①医療・福祉②公務③鉱業・採石業・砂利採取業―の順となっています。

さて、ここまで大まかな順位を見てみましたが、意外だったのが公務員。安定の象徴のように思ってきましたが、私たちの知らないところでのご苦労もあるようです。

また、震災後の復興、橋やトンネルなど構造物の寿命の問題などで本当に手が足りず、仕事を請けたくても請けられないという建設業の社長さんとお話をしたこともあります。

「25~29歳でも受け入れるよ」という姿勢があるのは、情報通信業と金融業・保険業でした。いずれにせよ、やはり手に技術があったり、専門的知識があると、当然状況はよろしいようで…。

業界をちょっとだけ遠くから眺めてみた後で、転職先を具体的に探し始めても遅くはないでしょう。参考になれば、幸いです。

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