デキる男は論理思考?いいえ、まだ足りません!大切なのは水平思考!
仕事がデキると言われる男は絶対的な論理思考を持ち合わせています。いろいろな情報源から有益な情報を得て、それをもとに正確無比な解答を導きだす。そんな彼の判断に間違いが起こるはずはありません。
論理思考はそれ自体、完璧なような気がします。しかし、論理思考には実社会を生きていく上で直面する問題には役に立たない場合も多いようです。
論理思考が役に立たない場面とは
論理思考が役に立たない場面の一つは、正答が一つに絞れない問題は解決することができないということです。答え(案)はいくつか候補があるけど手持ちの情報が不足していることから確定的な一つに決定することができない、なんてことはよくありますよね。
そんなときは普通は上司や社長などにお伺いを立てて、彼らの経験から判断してもらうようにします。それが間違いだった場合は責任を取ってもらうんですね。
また、論理思考が役に立たない場面のもう一つは、新しいことをやろうとしているときです。論理思考で出てくるアイデアは、もうすでに存在するアイデアの焼き直しでしかありません。本当の意味での革新的アイデアではないのです。
論理思考は限界があるということ
もちろん論理的なアイデアから生まれた商品だって、そこそこは売れるでしょう。しかしそれは爆発的ヒット商品にはなり得ないのです。
論理的思考“だけ”の男の限界は意外に早いものです。もしかしてあなたはこの辺の立ち位置にいませんか?
それではそれ以上の結果を残している(ように見える)デキる男たちとは、いったい何が違うのでしょうか?
論理思考の弱点を補う「水平思考」
実は彼らは論理思考とは違う思考方法、「水平思考」の体得者なのです。
水平思考(ラテラルシンキング)は心理学者のエドワード・デ・ボノが提唱した思考方法で、論理思考(垂直思考:ロジカルシンキング)とは対局にある考え方です。
デ・ボノは次のような問題で水平思考の例を紹介しています。
金貸しの老人と借金がある父親とその娘のお話
高額の借金がある父親とその娘がいました。その2人に対して金貸しの老人がこんな提案をします。
「この庭には敷石として白い石と黒い石がたくさん散らばっているじゃろ。ここから白い石と黒い石を1ずつ取って袋に入れて娘にくじ引きをしてもらおう。もし娘が白い石を引いたなら借金は帳消しにして、しかもそれ以上は何も要求しない。もし黒い石を引いたなら借金は帳消しにするが、娘は嫁としてわしがもらう。娘がくじ引きを拒否するなら、今すぐ借金を返してもらおう!」
娘の理想は白い石を引くことです。父親の負担となっている借金を無くしながらも、老人の妻には絶対になりたくないからです。しかし娘は見ていました。老人はくじ引きの袋には2つの黒い石を入れていたのです!これでは絶対に白い石が引けません。
さて、賢い娘はどういう行動をすればいいのでしょうか?
論理思考なら・・・
先に指摘しておきますが、この問題は答えが一つではありません。上で指摘した論理思考が苦手な場面なのです。とりあえず論理思考のあなたならどんな答えの候補を出すでしょうか?
・くじ引きを拒否し、借金返済は待ってもらうよう懇願する
これは結局最初の状況と何も変わっていないうえに、金貸し老人の返答によっては悪い方向に転がるリスクがあります。
・父親のためを思い、素直に黒い石を引き老人の嫁となる
悲しい話になってしまいました・・・もっと最適な答えを探してあげたくなります。
・老人からくじ引きの袋を取り上げ、不正を暴く
とりあえず嫁にいく話や借金帳消しの話は立ち消えになるでしょう。でもそれは最適な答えでしょうか?
ここで水平思考の登場です!
それでは水平思考だとどういう答えが出るのでしょう。
水平思考は論理に捕らわれない考え方をしようということです。視点をずらしたり、前提を覆してみたりすることによって新しいアイデアをどんどん生み出していきます。
このお話の場合、皆さんが捕らわれてしまっている前提は「娘が引いた石は確認しないといけない」ということです。それって本当ですか?
水平思考の導きだした答えは・・・
少し考え方のヒントがあると、何かしらアイデアが出てきたでしょうか?
デ・ボノの示した模範解答は次のような感じです。
娘は袋から石を引くと、その手の中の石を確認せずに地面に落としてしまいます。地面にはもともと白い石と黒い石が散らばっていました。そして娘はこう言います。
「あっ!手が滑って引いた石を落としてしまいました・・・他の石と混ざってしまってどの色だったかわからないですね。でもおじいさん、大丈夫ですよ!袋の中に残った石を見れば今引いた石の色はすぐ分かるでしょ!?」
袋の中に残っているのは当然黒い石です。ということは娘が引いて落とした石は白い石ということになります!老人の悪巧みを逆に利用した賢い娘の大逆転の発想です。
普段から水平思考を訓練しよう
どうでしょう、水平思考の可能性を少し感じていただけたでしょうか。
論理思考に慣れてしまっている私たちですが、新しいアイデアを出すにはこの水平思考がかなり有効です。しかし急にやってもなかなか難しいものです。普段から「視点をずらしてみる」「前提を覆してみる」と、思い込んでいる論理に捕らわれない思考法を練習しておきましょう。
会社のイノベーションを起こすのは水平思考のあなたです!ぜひチャレンジしてみてください!