仕事は「人を信じるな!」という前提で進めなければならない
ああ、ここに上司のハンコが必要だとか、これ課長に予め話しておかなくちゃならないとか、稟議書がどうとかこうとか、なんとか願いが必要とか、伝票とか日報とか、仕事って面倒くさい書類とか手続きとかがやたらにあって、効率が悪いこと悪いこと。
そんな効率の悪い、面倒くさい手続きなんか吹っ飛ばして、仕事に専念できれば、どれほど楽で、成果が上がるのになあ。なんて、考えたことありませんか?
たしかに、形骸化されて、意味のない書類や決まりとか会社に残っていることもあります。しかし、それらの多くは、一見意味のない、形式だけの面倒なだけもののように見えて、実は、意味があったりするのです。
「取引はうまくいかない」が前提
さて、ビジネスの経験の乏しい人にはわからないかもしれませんが、実社会のビジネスというのは、実にリスクに満ち溢れているものなのです。
仕入れようとしていたものが約束の期日までに届かない。数量が違う、品質が違う、やってくるはずの担当者が来ない、つかまらない、逃げてしまっている、集めたはずのアルバイトが当日ドタキャン。新しく入ったスタッフがクズ野郎で全然戦力にならない。
設計どおりに部品を組み上げてみたがちゃんと作動しない、製品は出来上がったが、監督官庁から待ったがかかった。
やっとの思いで納品したが、納品先の会社が約束どおりに代金を払ってくれない。訳を聞いてみると、担当者が請求書を処理するのを忘れていたと、聞いて、「じゃあ、来月には間違いなくお願いしますよ」と言っていたら、実はそうではなく、取引先が経営危機だった。
なんとか代金を回収しようと押しかけたがラチが開かない。手形をもらったが落ちない。などなどなどなど。トラブルの種なんて、どこにでも転がっていますし、日々仕事をやっていくと、そういうことが実に多いことがわかってきます。
さらに、そういうことが滅多に起きないしっかりした会社で、99回トラブルなしだったとしても100回目にトラブルになって、それが会社の命取りになる、なんてこともあるのです。用心するに越したことはありません。
トラブルが起こるのは前提で仕事を進める
こういったリスク回避、または、リスク分散のために、会社の仕事はいろいろな面倒くさい手続きが必要なのです。
つまり、何か取引をするために、面倒くさい手続きを経ることによって、より慎重になるようになり、多くの人が確認することにより、勘違いやミスをチェックする、という面もあります。それでもトラブルは起こります。
それほど、人間というのは信用できないものなのです。いい加減、ウソ、という作為的なこともありますが、天候とか事故とか不可抗力な場合もありますが、とにかく、考えた予定、成果が上がらない、という結果になることはままあります。
こういう場合、被害を最小限にとどめるために、煩雑な手続きなどがあるのです。さらに責任を分散する、という意味合いもあります。
手続きの意味を知ることが仕事のスキルアップに通じる
確かに、形式的で形骸化した手続きなどは、省略してもいいのでしょうが、全てがそうとは限りません。よくよく聞いてみたり、考えてみると、やっぱりその手続きや書類があったほうがいいんだな、と納得させられることもあるのです。
「面倒くさい」「なんで、こんな周りくどいことをしなきゃならないんだ」若いときは、ついそんなことを考えがちなのですが、一歩高みから考えてみることも仕事のスキルアップを図る上では大事なことです。
また、「人は裏切るもの」「約束は破られるもの」ということは肝に銘じておく必要があります。こういうトラブルに対する手当て、心構えをしておくことで、よりいい仕事ができるようになるのです。