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仕事で成果を残す人と残さない人は、何が違うのか?

初めて営業に配属された時、同時に隣の部署に配属となった同期のT君が配属1か月後には新規契約を次々と取ってくるのが不思議だった。飽和市場と言われる保険業界で、当時は商品内容も全く同じだ。新規契約は他社から奪取しなければならない。

同期同士のよしみで、酒を交わしながらポイントを教えてもらった。T君の言うポイントは3つあった。どれもが目新しいわけではないが、配属後気付いていなかった事でもあった。

1.自分は損しても相手のためを考え、取引先と付き合う

最初に驚いたのは取引先の属人情報の詳しさだった。配属後1か月なのに、受付女性の趣味から、取引先の課長の奥さんの出身校まで知っている。取引先の社長の趣味は当然熟知している。前任者からの引き継ぎ書があるが、担当者一人につき約120社だ。一通り回るだけで精いっぱいの量だ。

T君も私と同じように1つの取引先には2~3回しか行っていない。それでも得ている情報の量は極端に違う。T君はどうやって情報を得ているのか?聞くと「普通に回っていれば収集できる」と言う。そこで1つ1つの情報をどうやって入手したかを聞くと

『社長の奥さんが銀行に行くのに、ついでだからと車で送った時に聞いた 』
『約束時間前に着いたので、受付の女の子に、若いね。新人さん?モテるでしょう?と言ったら教えてくれた』
『取引先の担当者が資料の入った段ボール箱を運んでいたので手伝った時に教えてくれた』

聞いていると共通点が二点ある。自分が損しても相手のためになる行動をする事とビジネス以外で共同作業や共に過ごす時間を作っている事だ。それらを躊躇なく笑顔でする事で、相手の信頼を得ている。相手の信頼が得られれば、様々な情報が得やすくなる。

2.企画書は凝らない。見やすさだけを考える。残業は極力しない

さらにT君は、「お前は、見積書や企画書を作るのに何分かけている?俺は30分くらい」と言う。毎日の残業の主役は企画書や見積書づくりだ。アイデアが既にある場合でも、二時間以上は要する。それを30分でできるなら、その技を聞きたい。修得しておきたい。

T君の30分の技は、市販の本にある企画書や本社が用意している凡例企画書をフルに使った方法だ。オリジナル性や工夫があるわけではないが、それで十分だと断言する。

『例えば、1つの社内オンラインシステムをプレゼンでPRする。画期的な、と言うが、個々の機能を見れば差はあっても全体的には大差はない。どこの会社もベストな事をするだろう。だったら企画書に凝っても仕方がない。その分スピーディである方が大事だ』と言う。

確かに、保険内容や見積書に大きな差はない。他社が三日かけて出す企画書を一日で出せば、信頼は得られやすく優位に立てる。後出しじゃんけんが有利な場合は、企画書は手に持ったままでタイミングを見て出せばよい。仕上がっている企画書は何時でも出せる。

オリジナル性のない企画書で通用するのか?T君も、それだけでは駄目だと言う。見やすく色ペンで下線を入れたり、四角で囲ったりすると言う。蛍光ペンは安っぽく見えるから、企画書には使わない。そして『これは一案で、言っていただければ(今回のように)スグに次(の企画書)をお持ちします』と付け加える事を忘れてはいない。

企画書が短時間で仕上がれば、当然残業は減っていく。T君は、残業をしない効果は翌日の活力になると言う。フットワーク軽く動くため、各々の場で機転を利かすためには寝不足で頭が働かない状態では無理だと言う。クリアな頭があってこそ各局面で最善策をとれるのだ、と言う。

3.上司はフル活用し、接待を月一回までにする

最後に、T君は 入社間もない職員にとって、接待は仕事ではないと断言した。昔ながらの営業スタイルの時代だ。酒・麻雀、ゴルフは営業のたしなみとまで言われていた時代だ。営業なら酒の席は当然だったが、確かにT君は取引先とは滅多に飲まない。

T君の言い分は、『酒の席が必要なのは『懇意』になるためだろうが、本当に腹を割って話ができていると思うか?日中のコミュニケーションの方が、はるかに有効だ』であった。

酒に酔った相手から内面的な話を聞き、脆さを曝け出した分の悪い相手と思われ、付き合いを優位に進めていく。共通の秘密を有する仲間意識を育む。接待の趣旨は、こんなところなのかもしれない。

接待は上司に任せ、自分は日中に正攻法でコミュニケーションを図っていた。やがて自分の上司が接待するならと早めに接待をセッティングし、夜の懇意は上司に任せていた。人は、夜の懇意に安堵し、日中のコミュニケーションが疎かになりがちだ。その結果、気付かないうちに他社に契約を取られてしまう。その戒めも兼ねている。

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