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受注確率を上げる、購買心理を上手くついた「キレート提案法」のススメ

案件ゲット

あなたが営業に回っていて、営業先から「今日の打ち合わせに出てきた素案には興味があります。ぜひ面白い提案を持って来てください」等と言われた時、きっとあなたは意気揚々とオフィスに引き上げ、上司にこう報告するであろう。

「部長、A社がウチのプロジェクト案にのってきました。早速詰めたプロジェクト企画書を制作し、案件ゲットに向けて動きだします」

報告された上司も満面笑みで、あなたに激励の言葉をかける。こんな時は「よし、やるぞ!」と脳内にアドレナリンが満ち溢れている状態になっているだろうが、こういった「取れる確率が高い仕事」が舞い込んで来た時には、効率的に仕事を進めるよう留意をしたいものである。デスクに向かうあなたの頭の中では、脳内ToDo表が整理され、

売りたい企画の素案詰め⇒ブラッシュアップ⇒企画書のレベルまで仕上げ⇒社内プレゼン⇒クライアントへプレゼン

という一連のイメージが出来上がっている事であろう。だがこの脳内ToDo表の社内プレゼンの前に、もう1工程、「キレート法実施」という工程を付け加えてもらいたいのだ。

キレート法とは

キレートとは、カニのハサミという意味であるが、企画書を作る際にもこのキレート法という技法をぜひ取り入れ、効率的に、短時間で、案件をモノにしていってもらいたいと考えている。

キレート法とはつまり、ダミーの企画案2案を作り、あなたの本命の企画案を挟み込んで先方に提案するという技法である。筆者が広告代理店に勤務していた頃に先輩社員から教わった技法であるが、一見時間がかかり手間もかかるので敬遠する人も多いが、これが実に効く。

結論を先に言ってしまうと、あなたが本当に売りたいと思っている企画・金額で本命の企画案を作成し、ダミーとして本命企画案を思い切り装飾した豪華版と、内容をかなりチープにした質素版の2案と合わせて3案を客先に持っていくという手法だ。

宿泊プランによく見られる仕掛け

こんな話がある。ある旅館のオーナーが自分の旅館の宿泊プランについて頭を悩ませていた。全7室でどの部屋もあまり代わり映えのしないこの宿は、サービスや料理等で宿泊プランを差別化。デラックスプランとエコノミープランの2種類のプランを提示していたが、殆どの客がエコノミープランをチョイスしていたという。

オーナーとしては利益率が高いデラックスプランを売りたいと考えていたが、なかなか思うようには売れてくれない。そんな時、たまたま客として宿泊していたある広告会社の社長さんに悩みを打ち明けた所、このようなアドバイスをしてくれたという。

「デラックスプランを売りたいのであれば、その上のVIPプランを作ってみたらいいじゃないですか」

社長さんのアドバイスにオーナーははじめ「デラックスが売れないのに、VIPなんてもっと売れるわけないだろう…」とかなり半信半疑だったそうだが、とにかく社長のアドバイスに従い、VIPコースの内容を企画しラインナップに加えた所、とたんにデラックスコースを予約する客数が増えたという。

購買心理を巧みにつく

これは人間の購買深層心理を巧みに利用した戦術で、人間は高いか安いかの2択であれば安いほうを選ぶが、高い安い真ん中の3択であれば一番高いものは選ばずに、とはいえ一番安いものも選ばずに一番損得のバランスが取れていそうな真ん中のもの選ぶという行動原理を巧みに利用している。

本題のプロジェクトの企画案の話に戻るが、この話にしたって旅館の宿泊プランの構築戦略となんら変わる所はないのだ。

あなたはまず自身が一番実施したいと思っている利益率の高い(つまり一番儲かる)プロジェクト企画案を作成し、その後に遊び心満載の超豪華版の企画案、そして、本命の企画案をかなり削ぎ落とした質素な企画案の3案を立案し、客先に持って行けばよい。

急がば回れ

3案も作るのは一見、手間隙が非常にかかるように思えるかもしれないが、せっかく良い本命の企画案を一本持っていっても、「やれここがこうだ」「やれあそこがどうだ」と重箱の隅をつつかれ、最終的には受注が出来ても、ペイしない程の関与時間を割かされる事になるケースが多い。

ここは時間は多少かかっても、キレート法で3案を持参して「この案で進めましょう」といった回答をクライアントからもらってきたい。常に手離れの良い仕事を進めるのが、デキるビジネスマンの基本だ。

キレート法を活用した効率業務で出来た空き時間を利用して、旅行雑誌の様々なホテルや旅館の宿泊プランをながめてみて欲しい。そこには様々なキレートの仕掛けが施されている事に気付くはずだ。

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