参加者の意見を意識しながら議題を詰める、良い会議の条件とは?
自分の意見が言えない会議
日本の企業で日常的に行われている会議の数々は、はっきり言ってしまえば理想的なものではないそうです。「会議は踊る」というふうに揶揄されることもありますが、たいていは時間ばかりを浪費して、具体的かつ有意義な結論を出せないままやむを得ず閉会するというパターンもしばしば。
結論を急ぐことは良いことばかりではないので、場合によっては結論が出ないという会議にも収穫は見られるでしょう。とはいえ、それがベストの状態でないことは確かです。会議の質を向上させるためにどうすればいいかということを考えた時、会議の参加者が自分の意見を言えているかどうかというのは非常に大きなポイントになります。
せっかく自分の意見を持って会議に臨んだのに、それを発表する機会を与えてもらえないというビジネスパーソンは、世の中に大勢います。意見を持っている人がそれを口に出せない理由はどこにあるのでしょうか。一つ言えることは、自分の意見を発表した途端にそれを否定されてしまうのが目に見えているから、というもの。誰だって、自分の考えや価値観を否定されることは嫌なものです。何か言ってもどうせ馬鹿にされるだけだろうからと腐ってしまい、やがては会議に参加する人たちのやる気が削がれるのであれば、これほど残念なことはありません。
一つの対策として、他人の意見を否定する立場の人たちを黙らせる方法があります。すなわち、他人の意見を頭から否定する人に対して司会者が、「なるほど、Aさんの意見を否定されるなら、Bさん(意見を否定した人)には何かもっと良い考えがあるのでしょうか?」と尋ねればいいのです。他人の意見を否定するのが好きな人にありがちですが、自分の意見というものを持たず、がむしゃらに他人の意見を否定することに爽快感を覚えているような、タチの悪い人もいるのです。そういった迷惑分子を黙らせるには、上記のような「質問返し」が非常に有効です。ぜひ、試してみてください。
また、他人の意見を否定する人が、きっちりと意見を持っているのなら何の問題もないのです。その人の意見が良いものであれば採用すればいいし、何か改善の余地があるならその意見を足場の一つとして議論を進めればいいのです。
率先して意見を言えない人もいるから
世の中には、自分の意見を率先して口に出すことが苦手、という人もたくさんいます。かといって、その人が能力的に劣っているとか、何も考えずに会議に参加しているとかいうことはないのです。むしろ、雄弁は銀、沈黙は金という言葉の通り、黙って人の話を聞いているからこそ、冷静に議題を分析できるわけです。そういう人に自分の考えを少しでも話してもらうにはどうすればいいか、考えられる有効な手段は、やはり「質問」です。
自分から率先して話し出すのを苦手としている人に、お話ししても良いですよ、むしろみんながあなたの考えを聞きたがっているのでぜひ話してください、というサインを送るのです。そのために有効なのが質問という手法。
いきなりまとまった意見を求めるのが難しければ、イエスかノーで簡単に答えられるクローズドクエッションをしてもいいし、それに続けて考えを話してくれるのであれば、じっくりと拝聴しましょう。
発言の方向と、発言時間を限定する工夫
会議の参加者が積極的に自分の意見を言える環境。それが非常に重要なものであることは間違いありませんが、かといって、皆が好き勝手に自分の意見をぶちまけると、会議が混乱します。限られた時間内に有意義な結論を導き出すことは難しくなるでしょう。
会議の司会者に当たる人は、各人の発言の方向と時間を制限する工夫も押さえてください。一人の人間がずっと喋り続けているような環境は理想的ではないし、発言の方向も一つにそろえたい。少なくとも、一つの意見について賛成か反対か意思表示できる環境を整えてください。発言の方向をそろえるため、すなわち意見をまとめるためには「多数決」を採用してもいいですし、司会者が会議の参加者に意見を求める前に「○○ということを前提に、ご意見をお聞かせください」とお願いする手法も有効です。こう前置きすることにより、参加者からは、前提を大きく外れた意見が飛び出すこともなくなるでしょう。
また、参加者一人につきある程度まで発言時間を限定するために、キッチンタイマーなどを用意して、「おおよそ二分以内にまとめて、ご意見をお聞かせください」と促すこともできます。時間を正確に測ることができて、なおかつ、広い会議場でも大きな音で参加者に注意を喚起することができ、簡単に持ち運べるキッチンタイマーは、会議の場で重宝しますよ。