部下ができたら実践したい、頼れる人材が育つ仕事の与え方とは?
どこの職場にもいるダメ上司
どこの職場にもいるダメ上司。彼らがどうしてダメ上司といわれるのか。もちろんダメだからこそダメと呼ばれてしまうわけですが、ではいったいどの部分がどうダメなのか。ダメな原因は色々ありますが、僕の職場には典型的な「無茶ぶり上司」がいます。あなたの職場にもきっといるはずです。
無茶ぶり上司とは、文字通り部下に対して仕事の無茶ぶりをする上司を指します。とにかく部下に仕事を割り振るのが下手。できるわけがないと分かっていても、自分が面倒を引き受けたくないという理由だけで、可愛い部下に仕事をバンバン押し付ける。自分は涼しい顔で退社する。部下の適性ややる気なんてこれっぽっちも見ていない。もはや嫌われて当然ともいえる「無茶ぶり上司」。
無茶ぶり上司が部下に仕事を押し付けるタイミングは、だいたい残業時間中が多いのだそうです。以前に別の記事でも指摘した気がします。要するに、他の人があらかた帰ってしまった残業の時間帯であれば、無茶ぶりをとがめる人がいないので。
人はどういう時にやる気を出せるか?
でも、考えてみてください。ただでさえ忙しい残業時間中に、また新たな仕事を押し付けられて気分が良いわけありません。口先だけで「頼りにしているからね。頼むよ」なんて言われても気が滅入るだけです。
良い上司は、部下のやる気を引き出す方法を心得ています。まず大事なことですが、部下の得意分野と苦手分野をよく見ている。この二つに関しては、下手をすると当人すら把握できていない場合があるのですが、できる上司は他人のことまできっちりとみている。そのうえで、部下の得意分野に当てはまる仕事を上手く割り振ります。だからこそ、部下も自然体のままでやる気を出せるのです。
また、得意分野を見極めることだけではなく、部下の都合もよく考えています。人間の身体は一つしかないし、漫画のキャラクターのように分身することなどできないわけですから、一人の人間がこなせるノルマにはおのずと限界があります。ダメな上司は、しばしば「自分のペース」でものを考えがち。例えば、部下が必死になって「今は別の案件を抱えているから、新しく仕事を引き受けるのは無理です」と懇願しても、聞き入れないのです。その理由は、自分ならもっとたくさんのノルマを同時に消化できるからという、何とも自分本位で信じられない理由です。そのあげく、俺にはできるのに、お前にはなんでこんな簡単なことができないのだと部下をなじるのです。
ぼろくそに言われた部下の立場に立てば、仕事ができるというなら他人に頼まず自分でやればいいだろうという気分になるでしょう。当然、ふてくされます。そういう態度が上司との間にさらなる軋轢を生むという悪循環。
人は誰しも、自分の気持ちを分かってくれる相手の依頼なら聞き入れようという気分になります。できる上司は、部下に寄り添う努力を怠らないので、部下からの厚い信頼を勝ち取ることができるわけです。部下ができないと言ったら、本当にできないのかもしれない、仕事のやり方やペース配分は人それぞれ。そういう柔軟な視点を持つことができる。なおかつ、本当にさぼっている部下に対しては、やんわりとアドバイスができるのですよね。
普段から他人に目を配る際のポイント
できる上司は、いったい部下のどこを見て適性や性格などを判断しているのでしょう。これは、現在部下がいるという人にとっても、あるいは部下の立場からしても気になることだと思います。
私の職場に、できる上司がいます。若輩者の私は、その人にずいぶんとお世話になりました。歳は関係なく、近年のうちに自分が部下を持つ可能性も十分に考えられるので、その人と酒を飲んだ際、良い部下を育てる極意というものを聞き出してみました。
その人が最も強調していたのは、本当にやる気のある部下は、読んでいるビジネス書の類を見れば仕事の適性が分かるのだそうです。読書の目的は人それぞれですが、たとえば資格試験の勉強に取り組んでいるなら、試験に関係する書籍に目を通すでしょう。それを見た「できる上司」は、自分にアドバイスできることならしてやるし、割り振る仕事についても、できる限り「その人が今、興味を持って取り組んでいる分野」に近いものを任せるのだそうです。そのほうが相手のためになりますから。
これを逆手に取れば、若手社員にとって「読書は自己アピールの手段になりえる」ということです。できる上司はあなたが読んでいる本をさりげなくチェックしています。だから、読んでいる本の内容で、割り振って欲しい仕事を遠回りにアピールするということは、決して無駄ではないのです。