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ビジネス交渉の心得。「いい人」を捨てるべきタイミングとは?

ビジネスは「詰め」が一番難しい

ビジネス、というよりは、営業の各フェーズで一番難しい部分は一体何であろうか?営業の一般的なフェーズであれば、アポイントから始まり、訪問、ヒヤリング、提案、見積もり、クロージング、アフターフォローといった具合に各フェーズが進むことになるだろう。

どのフェーズにもそれぞれの難しさがあり、どのフェーズが一番難しいか?といった順位付けは難しいかもしれないが、あえて順位を付けるとすれば、一番難しいのは「クロージング」のフェーズなのではないだろうか?

確かに、全く知らない相手からアポイントを取ることも非常に難しい仕事であるし、一言で「ヒヤリング」といっても、まだ気心も知れない相手からニーズを聞き出すというのも、骨の折れる仕事である。

提案と一言で言ってみても、提案書の作成ともなれば、それだけでかなりの労力を費やすことになるし、見積書だって、相手に納得してもらえるように書くには、経験も技術も駆け引きも必要になる。どれだって、難しい仕事であることは間違いがないのだ。

いつでも「いい人」で良いのか?

ただし、ここで一つの事柄に着目してみて頂きたい。それは、クロージング以外のフェーズにおいては、おそらくあなたは、「感じの良い、いい人」であっても仕事はつつがなく進んでいくという点である。

営業をしていると、「良い流れを止めたくない」といった営業マン特有の変な思い込みに包まれてしまうことがある。営業の提案段階で、「いい企画ですね。面白いから検討をさせてもらいますよ」などと言われれば、「この流れならば、おそらくこの仕事は取れるだろう」との勝手な判断が働き、あまり担当者の心象を悪くしないような「保守的」な行動をとってしまいがちになるものだ。

買ったら負けのせめぎ合い

ただし、ここで注意をしたいもの。人間というものは、モノを買わされた場合には、何とはなくではあるが、「買わされた。負けた」といった感情に襲われる動物であるということだ。

そういった感情が本能的に備わっているから、よっぽど差し迫って購入する必要があるものや、どうしても欲しいものでもない限り、お客さんというのは、「買う」という決断をあまりしたがらない。ニコニコと前向きな態度は取りながらも、どこかでは「買わされてなるものか」という感情を持っている。

「いい人」を捨てるべきタイミングがある

そのような大前提があるわけであるから、ある程度の提案フェーズが進んだ折には心を鬼にして、「お客さん、そろそろ決めてくださいよ」といった強い態度で臨むことが必要になってくる。

が、先に述べたように、営業マンの本能として「良い雰囲気、良い流れを変えるのは怖い」といった感情があるから、言葉で書くほど実践は簡単ではない。このような心理状態にある営業マンの心理の根底にあるのは、流れを変えてしまうという怖さともう一つ、「本当に買わせちゃっていいのかな?」という迷いの心理だ。

自分を洗脳してしまう

人間性善説に基づくならば、営業マンは常に「これを買わせて、お客さんのお金が減ってしまっても、本当に良いのだろうか?」という変な「良心」を持っているはず。こういう誤った「良心」的なものがあるから、最後の部分で押し切ることができなくなってしまうわけだ。

それを払拭するには、再度、自分の扱う商品、もしくは自分の立てた提案を徹底的に見直してみて、「この商品(サービス)は、どこからどうみてもお客さんの為になるし、これを購入させなかったら、逆にお客さんに莫大な損をさせることになる」くらいに自分を納得させてしまうしか方法はないといえる。

そこまで自分と自分の商品に自信が持てるようになっていれば、クロージングのフェーズに持っていく最難関のステップにおいても、お客さんには決断を強く迫ることができるようになる。多少、相手に不快感を与えてしまったとしても、強い態度で相手にぶつかることができる。そう、「いい人」でなくても、平気でいられるようになってくるのだ。

商品に自信を持ち尽くす

思い出してみて頂きたい。新入社員の研修を受けていた頃、もしくは、書店にならぶ色々な種類の営業ハウツー本を読んだ時に、このようなフレーズを、目または耳にしたことはないだろうか?

「徹底的に自分が扱う商品を好きになれ」

なかなか壁にぶち当たってみないと、人間は藁にもすがらないものであるが、最近、とくに「詰めが甘い」と上司に怒られたことがある人ならば、この言葉の意味が骨身の部分まで理解できるはずだ。

「商品の押し売りはできなくても、親切の押し売りはできるもの」

やれる部分からトライして、お客様の満足いくものを販売できる営業マンを目指して頂きたいものである。

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