ハードとソフトで考える!日々の業務を効率良く改善させる方法
職場環境におけるハード面とソフト面の関連性について考えてみたいと思います。
業務環境の混乱
私がかつて異動を命じられて赴任した事業所でのことです。大規模事業所の管理部門で、主に経理会計、総務的なことを扱う部署でした。
赴任した当時、そこは物が乱雑に散らかり、混沌として業務環境としてはかなり劣悪な状況でした。その時の人事異動では前任者数名を入れ替え、根本的な業務見直しを図ろうという意図があり、私はその見直しメンバーの一人でした。
物の置き場所も明確ならざる状況で、ファイリングの仕組みも滅茶苦茶、必要な道具もない状態で、問題点を挙げればキリがありませんでした。当然のことですが、これでは精神衛生上も良くないですし、作業効率は望むべくもありません。
どんなに高性能のコピー機やPCを導入しても、それらを活かす環境ができていなければ生産性を上げることにつながりません。
作業効率とハード面の関係
まず私は最初に自分のデスク周りに必要な道具を持参して揃えてみました。しかし、事務所と自分のデスクのリンクが上手く行かず、相乗効果も出ないため、効率化にはつながりませんでした。
前任スタッフたちがどういう思考で劣悪環境を放置していたのかが気になりましたが、そういう人的要因を問う前に、私は以下のことについて考えてみました。
- 建物の構造(人の動線を無視した構造、雰囲気、衛生面など)
- 室内の装飾(業務に無関係なものが多い、整理が行き届いていないなど)
- カラーリング(業務効率を無視した天井・壁・カーテン色、備品の色合など)
- 什器類の配置(使う人のための配置になっていない、ものの出し入れに手間取るなど)
つまりハード面の問題はないかということです。案の定赴任した職場はそういうハード面の問題が山積していました。そこにいる人間は無意識にさまざまな印象を受け、心理的に悪い影響を受けている可能性があります。
つまり目に見えにくい問題(もしくは見えていても問題と認識できない)ということが多く、なかなか改善が難しい問題です。
しかしこのような問題に気づいても改善を提議するのは容易ではありません。一定の地位と権限がある場合を除いては、全体の環境に関わることを個人がどうにか出来る場合は少ないでしょう。
仮に出来るとしても周囲から相応のコンセンサスを得る努力がいるでしょう。それは簡単なことではありません。
ハードとソフトで考える
その様なジレンマのなかで私は全体の構造改革ではなく、ハード(環境全体)とソフト(自デスクの環境)をいかに機能的に連動させられるかを考えることにしました。職場のルールや公序良俗に反しない形でそれをやる。
私が当初失敗したのは、前職場でうまく機能させていた仕組みをそのまま移植しようとしたからでした。事業所(ハード)が違えば必要となる作業システム(ソフト)も違ってくるのは自明の理ですよね。
3つの取組み
さてその連動性を高めるためにまずは以下の3点に取り組みました。
- 自分の役割上必要な道具を極限までシンプルに絞る。
- 机上の省スペース化を高める。
- 周囲と協力してハード面の改善と整理を進める
1は基本的な事務用品と、ノートPC、電話などの最低限必要なものだけにし(すでにあったそれ以外の不要なものは一切処分する)、業務をすすめるうちにハードとの兼ね合いで必要になってくるものがどんなものかを見極めていくという意図があります。
2はまさに自分の城ですから、自分がやりやすいようにレイアウトを組み立てたいものです。でも物をごちゃつかせるとかえって能率は落ちますから、物を机上にたくさん置くのは避けましょう。
物は「使ったら戻す」というのを徹底し、自スペースはいつも整然とさせておく癖をつけましょう。
3はハード面へのアプローチです。たとえば共有部のファイルの置き方、収納場所、什器の配置などは、日常的にどうすれば使いやすくて、現状どのように使いにくいのかをよく観察します。
それを雑談の場でもいいので、すこしずつ周囲に浸透させてゆきます。一気にかたをつけるのではなく、自らのプランを人に少しずつ伝える努力をするのです。
そこに普遍性があれば、必ず協力者が出てきます。そしていずれかの段階で「じゃあやってみようか」という事になるかもしれません。権限がなくとも、そういう努力は案外侮れないものだと私は思っています。
現に私の場合、そういう浸透のさせ方で什器の移動や、新規什器の導入を実現しましたし、ファイリングの仕組みについても秩序の再構築を行うことができました。
勿論これだけで全てが解決するほど単純ではないでしょうが、ひとまず周囲の環境と自分の作業環境がリンクされ、一定の作業効率をあげることができるようになるのではないでしょうか。
みなさんも取組の一つとしてハード面とソフト面の関連性について考えてみてはいかがでしょうか。