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自動車保険の考え方。対物超過修理費用特約とは?

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2013.09.27

対物超過修理費用特約 というものがある。結論から言ってしまうと、是非とも付けておきたい特約である。が、正確に理解している方が少ないので、これを解説してみたい。

民法(というか民事訴訟の判例)は「賠償は時価までの弁償で足りる」と結論付けている。ここにトラブルの種がある。

自分の前に、古びた車(A車としよう)が走っており、自分がその車に追突してしまったとしよう。追突は通常後ろが過失100であるので、あなたが悪い。あなたは相手に謝り、「保険会社も私の100だと言っています、ごめんなさい。私は対物 無制限で保険をつけてますから、ご安心を」と言う。

A車の修理見積もりは25万円とのこと。あなたは「ああ、その程度でよかった、まあ無制限入ってるからいくらでも大丈夫だが」と思うだろう。しかし、あなたの保険会社は、お相手様にこんなことを説明し出した。

「このたびは当社の契約者の追突によって、あなた様のお車を傷つけてしまい、契約者に代わってお詫びいたします。早速弁償の件でご相談なのですが、あなた様のA車は13年落ち(13年経過車)とのことで、車価はほぼゼロです。しかし車検の残が1年ちょっとあることを評価させて頂きまして、時価15万円、お支払させて頂きます。当社の規定ではいっぱいの額ですので、何とかご了承下さい」

修理見積もりは25万円である、15万円もらっても、10万円も足りないではないか!相手は当然納得しない。相手は「なんだよそれは、相手は自分が100%悪いからって言ってるじゃねえか。修理代足りねえじゃねえか!」と言うだろう。

しかしあなたの保険会社は慣れたもので、「あなたは全然悪くありません。当方の契約者が悪いですねえ、なので当社が代わって弁償させて頂きます。ただ、あなた様のお車、残念ながら古くて値段がそれほど付きません。修理額は修理額。弁償額としては時価額まで支払えば事足りる、と決まっておりまして、当社と致しましては法律的な根拠を超えて金銭を支払うことは致しかねます」と言う。

あなたも相手被害者に加勢して、自分の保険会社に「たかだか10万じゃないか、支払ってやってくれよー」と言うかも知れない。しかし保険会社はあなたに小声で「いいや、法律的に、この額までしかあなたに支払義務はないんですよ。自信持ってください。滅茶苦茶言ってるのは相手なんですから」と言う。

「なら、あと10万はだれが払うんだよ!?」という相手に、保険会社は平然と、「直すのも直さないのも、買い替えされるのも、もう車はやめるのも、あなたのご自由です。修理額が足りないのなら不足分はご自身で出されるか、もしご自身の自動車保険に車両保険があれば、そこから出る可能性もありますね」と言うだろう(自身の車両保険を使えば当然1事故扱いとなり、3等級ダウンしちゃうんだが・・・)。

「では、ご了承頂きましたら示談書にご署名を」となる。あなたがもし相手の立場だったら、署名するだろうか?

こういった案件が、実はしばしば発生する。この特約が無かった頃は、まさに上記のように処理するしかなかった。しかし、当然ながら相手は納得しない。多くの場合、保険で足りなかった金銭、このケースでは10万円(感情的にこじれた場合には、それ以上となることも・・・)を加害者は自腹で支払って何とか事を収めることが多かった。

しかしこういうケースは、当事者全員が不愉快極まりない。ぶつけられた方は、自動車を傷つけられ、お前の車は値段が安いと言われ、修理額満額もらえない(不足分を直接もらえたとしても 気分の悪さは後を引く)。

ぶつけた方は、せっかく保険入って、しかも今回の修理額を十分カバーできる補償額(今回は対物 無制限)を付けているのに、自分の保険会社がゴチャゴチャと理屈を抜かして格好悪い立場になってしまった(最悪の場合さらに自腹10万支払わされた)。

保険会社はというと、被害者から感謝されなかったのは致し方ないとして、加害者である自分らの客からも不満タラタラであり、最悪、次回の更新では他社に逃げられるかもしれない。

対物超過修理費用特約は、このようなケースで、時価を超える部分を補償するものである。この特約は、かつて自動車保険の大きな穴の1つであったこの「時価額全損」問題を解決した。保険会社が頭良いのはちゃっかりとこの問題を有料の特約により解決したことである。

エコカー減税の時に古い車がかなり新車に入れ替わったらしいが、それまでの10年ほど、景気悪いから、ということで皆が車を買い換えなかったことから、シャバには古い車が溢れかえり、時価額問題はしばしば発生した。ただ、今でも営業車など、10年を越すような古車はゴロゴロ走っている。年額数千円のこの特約を私は皆さんに勧めているのだ。

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