> 雑学 > 車検は保安基準チェックと徴税をリンクさせた巧みなシステム

車検は保安基準チェックと徴税をリンクさせた巧みなシステム

車検ってなんですか?説明してくださいと言われたら、サラリと説明できるだろうか?「何年かに1回は、きちんと整備してもらうように法律で決まってるんでしょ?」くらいに思っている方が多いのではないだろうか?外れてもいないが、それでは車検の一面を見ているに過ぎない。

車検の期間は車種ごとに決まっており、その期間を過ぎてもなおその自動車に乗り続けたいなら、車検(継続検査)を受けなければならない。公道を走る自動車は 国(国交省)が定める保安基準に適合している必要があり、継続検査は検査時にその自動車が基準を満たしているかを検査するものである。

「検査時に基準を満たしている」というところは重要である。2年の車検が取れたということは「この先2年は大丈夫です」というお墨付きをもらったということとイコールではないのだ。

運悪く車検の次の日に不具合が発生しても、車検の有効性に問題は無いのだ。だから車検屋さんに文句を言っても法律上の責任は車検屋にはない。(顧客サービスとして無料で追加整備する業者はいるかもしれないが)

本来は陸運局に自動車を持ち込んで検査を受けるのだが、その検査を自前で行うレベルにあると認められた整備工場(指定工場)は、自社で検査を完了することもできる。これをシャバでは「民間車検」などと言っている。

保安基準と言われるとイカメしいが、要はその車が安全に走って、曲がって、止まれることや、灯火類がちゃんと点灯点滅するか?排気ガス中の有害物質は基準値以下か?など、自動車としての基本性能についてのチェックであり、検査項目は決まっている。

誤解している人がいるが、ラジオがならないとか、パワーウィンドウの調子が悪いとか、エンジンオイルが交換距離に来ているとか、エアコンが効かない みたいなものは車検としては関係ない。それは直す必要があるだろうが、一般整備であって車検整備ではない。

ちなみにオイル交換の時期がどれだけ超えていようが量が規定量あり、粘性が明らかにない(コールタールみたいになっちゃっている)などの症状がなければ、「車検に通らないんで交換してください」とは言われない(はずだ)。保安基準にエンジンオイルの交換距離の決まりが無いからである。

車検を受ける際には、揃えなければならない必要書類がある。これが重要だ。まず直近の自動車税納税証明書。直近のものが必要ということは昨年分(一つ前分)も完納していなければならない。ということで、その車に乗り続ける限り、自動車税の滞納は許されない。自動車税は都道府県の税金である。

次に、重量税(これは国の税金)印紙。印紙自体は業者が揃えるが、車検申請の用紙に貼り付けて申請するので自動的に納税させられる。更に、強制保険である自賠責保険を、これから取ろうとする車検の有効期間をカバーする期間契約して、保険証を添付することになっている。こうして車検のある全ての車両が皆保険となるのである。

このような複合的な意味合いを持たせた車検システムを持った国はそうは無いだろうと思われる。一般のイメージは整備がメインと思われがちであるが、実態は保安基準適合性をチェックするという建前で、しっかり徴税し、強制保険を付けるシステムである、なんて言ったら怒られるか・・・。

スポンサードリンク
スポンサードリンク