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武井咲と剛力彩芽に見るオスカープロモーションの戦略

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2013.06.21

旬まっ只中の武井咲と剛力彩芽、TV・映画・雑誌・CMなどで見ない日はない。タレントの露出と人気は、まさに卵とニワトリの関係。人気があれば露出が増え、その露出がさらなる人気を生んでゆく。

タレントをマネージメントするプロダクションは、その拡大ループに自社のタレントを乗せようと、日々必死で、激しい競争を繰り広げている。そんな中、若手女性タレント(モデル・女優)のカテゴリでは、現在オスカープロモーションが断トツの層の厚さを誇っている。

全日本国民的美少女コンテストの始まり

オスカープロモーションは、1980年代半ば、ゴクミこと後藤久美子を国民的美少女というキャッチコピーで売り出し、大きな成功を収める。ポスト≪おにゃん子クラブ≫を模索していた芸能界は、これを契機に≪美少女ブーム≫に入っていき、90年代前半の3M(宮沢りえ、牧瀬理穂、観月ありさ)時代へと続いていく。

オスカープロモーションは、先行するホリプロタレントスカウトキャラバン(1976年に第一回開催、のちに深田恭子・綾瀬はるか・石原さとみなどを輩出)が、80年代に低迷する中、ゴクミに続くタレントの発掘を目指して、1987年から一大オーディションイベントとして≪全日本国民的美少女コンテスト≫を開始する。

当初はグランプリ受賞者のプロモーションに力を入れる戦略で、藤谷美紀(第1回)・細川直美(第2回)・小田茜(第4回)など、主演クラスの女優を世に出した。しかし第3回・第5回のグランプリ受賞者の売り出しに失敗したことで、コンテストは転機を迎える。

それまで年1回の開催を続けてきたが、第6回(1992年 グランプリ佐藤藍子・審査員特別賞米倉涼子)を機に4年間休止することになる。第7回(97年)上戸彩(審査員特別賞)、第8回(02年)剛力彩芽(予選敗退)、第11回(06年)には忽那汐里(審査員特別賞)、武井咲(モデル部門賞およびマルチメディア賞)が受賞しているが、その後は2~3年おきの開催になっている

タレントの育成には、時間とお金をかける

現在確立しているオスカーのタレント育成戦略は、この時期に開発されブラッシュアップされていくことになる。受賞者たちだけでなく予選敗退者からも本戦出場者からも多くを所属させ、英才教育を受けさせる。タレントプロダクションとしては異例に、多額の投資をして数年間じっくり育てる手法である。

デビュー時には、これまでに培った人脈などのアドバンテージを駆使して、TV・映画・CM業界に強烈なプロモーションをかけていく。≪育成したエリート候補を、全社を挙げてプッシュして人気を拡大し、そこから新たな需要を作り出して、結果として莫大な回収を図る≫という長期戦略に舵を切ったのだ。

武井咲や剛力彩芽の成功について、オスカーの専務取締役鈴木誠司氏はインタビューで、『売れたというより、企業努力で売ったというのが本音』と強烈な自負を語っている。

10万人を超える応募者から、1000人を超える面接を行い、予選敗退者をふくめて将来性を見込める300~500人を所属させるという。コンテストの本戦に残るのは20人ほどなので、300~500人という数は驚きだ。その中からさらに70~80人に絞られて、『特別レッスン』を受けさせる。

春・秋の2回マネジメントからランキングが発表され、ここで継続的にトップ10に入ることでやっとデビューへの道が開けてくるのだ。ブレイクまでに、実に剛力彩芽は10年、武井咲でも6年もかかっている。その陰で夢破れて去っていく多くの少女たちがいる厳しい現実もある。

オスカーが20~25歳は恋愛禁止としているのも、彼女たちに芸能界で夢を叶えることの厳しさを教えるためとしているが、一方で多額の投資をやっと回収しようとする時期に、恋愛、結婚ましてや妊娠などで、CMや番組を降板されては困るのも本音だろう。

オスカー三人娘の今後は?

オリ☆スタ2012年1/16日号のネクストブレイクランキング女優部門で、1位忽那汐里、2位剛力彩芽、3位武井咲(4位満島ひかり、5位大島優子)とオスカーはトップ3を独占し、まさに一人勝ちの状態。

忽那汐里は、本人の希望もあって、女優一本での活動を続けているが、後の二人に比べて出遅れている感は否めない。≪家政婦のミタ≫というお化け番組に参加した割には人気がぱっとしない。作品に恵まれない面もあるが、実力のあるプロデューサー、ディレクターからオファーをもらうには、もっと演技力を磨かなければならないだろう。

武井咲は、ゴクミ以来の『正統派美少女路線』でのプロモーションで大成功している。CMでは資生堂TSUBAKIからMAQuillAGE(マキアージュ)と順調に成長させ、TVドラマや映画でも主演を継続している。数字の取れる作品にはまだ巡り合っていないが、≪お天気おねえさん≫は23時台でありながら2ケタ視聴率と健闘している。

マネジメントの力でここまでブレイクし、正統派美少女としてのポジションを得てはいるが、ホントの実力が問われるのはこれからだ。米倉涼子や綾瀬はるかのように、数字も取れて、人気実力ともに評価されるためには、さらなる才能と不断の努力が伴わなくてはならない。マネジメントサイドも次のステップへ今までとは違うアプローチが必要だろう。

剛力彩芽はコンテスト予選敗退という試練を経て、セブンティーンのモデルを続けながら、ダンスや演技のレッスンをずっと続け、デビューの時を待った苦労人である。ボーイッシュで、子供っぽさの抜けないルックスやしぐさからは想像できないが、自分の才能や置かれている状況を冷静に見る頭の良さを持っている。

≪ビブリア古書堂の事件手帖≫について『収録中から数字(視聴率)は取れないと思っていた』ともらしてしまったのも、彼女の持っている危機感と賢さのゆえだ。

女優とバラエティの両面で売っていくというリスクヘッジの手法だが、長寿番組『奇跡体験!アンビリバボー』の進行役(4代目)も無難にこなしている。この仕事を受けるにあたって、ほかのバラエティ番組もふくめて必死で勉強したそうだ。アイドルとして賢さの際立った初代進行役の佐藤藍子は10年という長期だったが、剛力彩芽はどうだろうか。

いまや武井咲や剛力彩芽は寝る間もないほどの忙しさにちがいない。古賀専務はこれらの忙しさを体験し、乗り越えることで一流タレントとしての自信と自覚が生まれるのだと言う。数年間にわたるタレントの育成計画を立て、本人とじっくり話し、納得させながらタレントマネジメントをしているとも言っている。

≪過剰な露出はタレントの消費を早めタレント生命を縮める≫というセオリーも一方にあるのだが、『タレントは倒れるくらい働いて一人前』と言い放つ古賀誠一社長というカリスマが率いるオスカープロモーションは、≪露出が需要を生む≫という戦略で、そんなセオリーを蹴散らしながら、これからも突き進んでいくだろう。

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