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桶狭間の戦い。義元の油断なのか信長の実力なのか

織田信長の奇襲説が定説だった桶狭間の戦い。最近は『信長公記』の記述から、正面からの真っ向勝負だったというのが定説になってきています。『信長公記』は信長の側近だった太田牛一(ぎゅういち)の手になるもので、信憑性は高いと言われています。

義元の動き

1560年、今川義元は大軍を率いて尾張へ出発。理由は諸説あり、上洛するためやら尾張を奪うためやらと言われています。何にせよ尾張へ乗り込んだ今川軍は沓掛城に入り、大高城へ兵糧を搬入します。

信長さまに振り回される家臣

大高城の付城として織田方が築いていた鷲津砦と丸根砦では、今川が落としにかかってきそうだと予測して信長に報告。しかし信長は知ったこっちゃないとばかりにどうでもいい話をしたあげく、家臣に「遅いからもう帰っていいよ」と言い放って寝てしまいます。家臣たちは信長の頭がぼんやりしちゃったのだろうと笑って帰ります。

明け方、鷲津と丸根の砦から「早く援軍よこせ」との要請を受けた信長。敦盛を舞って飯を立ち食いして家臣を置いて出陣します。その唐突さたるや、ついてこられたのは五人の小姓のみ。そりゃそうだ。

信長は熱田まで一気に駆けます。そして源大夫殿宮(上知我麻神社)のあたりで鷲津、丸根砦が落とされ、煙が上がっているのを見たときには雑兵が200人ほど集まっていました。その後、善照寺砦に移って待つ信長。置いて行かれた兵たちもやっとこさ追い付きます。

一方、義元はいまいち場所がはっきりしない「おけはざま山」に布陣して休んでいました。信長公記によると今川軍は4万5千となっていますが流石に多すぎるだろうとのことで、2万5千が限度と言われています。

砦が落ちたことを知った義元は謡をうたわせるほどご機嫌です。義元のもとで人質になっている松平元康(徳川家康)は、大高城に兵糧を入れたり砦を攻めたりしてお疲れなので大高城で休んでいました。

そんな中、信長が善照寺砦にいるのを見た佐々隼人正、千秋四郎が何を思ったか300人くらいで今川軍に突っ込みます。しかし信長は眺めているだけで、二人の他50騎ほども討ち取られてしまいます。

その後、中島砦へと移動しようとする信長。手勢は2千人ほどしかいません。敵に丸見えになって寡兵なことがばれるからやめましょうよと馬の轡にしがみ付いて止める家臣をふり切って信長は行ってしまいます。

中島砦に着いた信長は、さらに出撃を命じます。ここでも家臣はすがりついて止めます。そこで「相手は兵糧運んだり砦落としたりして疲れてるけどこっちは元気だ。敵が大軍だろうが何だろうが怖れるな。運は天にある」などと言って兵を励ます信長。

そして首は捨てなさいよ、という命を出しているところにちょうど前田又左衛門(利家)などが敵の首を持って合流します。今言ってたんだけど首は取らなくていいからね、と同じ話を利家たちにも聞かせて、信長は山際まで進みます。

その時にわかに天気が変わり、木が倒れるほどとんでもない暴風雨となります。石氷のような雨を今川軍は正面から喰らい、織田軍は背から受けます。

崩れる今川軍

やがて雨が上がると、信長は槍を取って「すは、かかれ」と大音声を上げます。今川軍は崩れ、弓やら槍やら指し物やらが乱れただけでなく、義元の乗る輿まで捨て置いて逃げだしたとのこと。

信長は今川の旗本を指して攻撃を命じます。それでも旗本衆は300騎ほどで義元の乗る輿を囲んで応戦。抵抗しますがついには50人ほどにまで減ってしまいます。信長も馬から下りると若武者と先を争って敵と取っ組み合いの乱戦に。織田方も馬廻りや小姓が数も知れぬほど討ち取られます。

戦の終わり

その最中、服部小平太が義元に攻めかかりますが膝を斬られて倒れこみ、続いて毛利新介が掴みかかって義元の首を掻き切りました。こうして桶狭間の戦いは終結。信長は清州城にて首実検を行います。この時、捕虜として連れてこられた者が見知った首に名前を書きつけたとのこと。

信長は彼に義元の首を持たせて帰らせます。首は返しましたが義元の差していた刀、左文字は召し上げて普段差しにしたとあります。お気に入りだったようです。

以上が信長公記による桶狭間(一部省略)です。牛一も全部を記したわけではないでしょうから細かいところははっきりしていないのが現状です。

義元について

義元はのんきに宴を開いていたところを討たれたという話もありますが、義元はそれほど暗愚ではないでしょう。『信長公記』にも謡をうたわせ~という記述はありますが阿呆のように浮かれていたとは考えにくいです。

義元の代で今川は最大版図を形成し、海道一の弓取りと謳われたほどです。ちょっと顔を白く塗ったりお歯黒したりする趣味があっただけです。

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