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庭園と公園って違うの?日本庭園の基礎を知るとお寺が楽しい!

庭園と公園は似ている様で意味が違います。日本の庭園は自然を尊重しながら自然と一体感のある作り方をしているのに対し、海外でメジャーの公園は左右対称で、自然を支配した作り方となっています。自然を尊重した日本庭園の基本を学ぶと公園の見方、お寺の庭園の見方が変わります。

日本庭園は自然と調和

全国のお寺で見る事が出来る我々の身近な日本庭園。実はこの日本庭園の作り方というのはとても日本的なんです。

日本は昔から自然を畏怖して崇める伝統があります。例えば神社は本殿の後ろにある山や森も含めて信仰の対象としたり、稲作での田んぼには水の神様を祀ったり、自然そのものを崇める八百万の神を祈ったり、枚挙にいとまがありません。そんな自然を尊重しつつ、日本庭園は成り立っています。

日本庭園の種類

日本庭園の構造は3種類あります。

1.池泉式庭園
2.枯山水庭園
3.路地(もしくは茶庭)

です。時代ごとにその特性が変わっています。

1.池泉式庭園

池泉式庭園とは、池があって風光明美な景色の縮図を作った庭園の事を言います。池泉式庭園を見学しますと、まるでその場が大自然である様に体感する事が出来ます。

山の様に築山が配置され、その山にはゴツゴツした岩があり、その手前には雄大な池が配備されているのです。更に細かくカテゴライズしますと、そんな池泉式庭園は庭園を見るための構造から4つの種類に分ける事が出来ます。

1)池泉回遊式庭園・・・池の周りを回遊する、つまり池の周りを歩きながら鑑賞する事を目的とした庭園です。

2)池泉舟遊式庭園・・・池に舟を浮かべて、舟の中から庭園を鑑賞します。舟を浮かべられる程の大きな池があるのが特徴です。

3)池泉観賞式庭園・・・庭園の中に入って鑑賞するのでは無く、建物の中から鑑賞する庭園です。

4)浄土式庭園・・・極楽浄土の世界をモチーフに作られ、浅瀬の池を配備して、海の浅瀬の州浜を表現しています。

という具合に、同じ池泉式でも4つの種類に分かれています。池泉式の庭園は平安時代頃に作られているのが多く、貴族社会と調和をしておりました。その庭だけで全ての表現を完結するのでは無く、後ろに見える山を上手く融合した借景を取り入れるなど、周辺の自然との調和も考慮して作られています。

2.枯山水庭園

枯山水庭園は、池の表現を実際の水では無く、白い砂で表した庭園です。お寺のちょっとしたスペースに使用するなど、小さなスペースでも豊かに表現が出来るので、池泉式庭園に比べてはるかに経済的です。鎌倉時代の武家社会の発展とともに普及しました。

ゴツゴツした岩によって荒々しい峡谷を表現したり、白い砂に波紋を描いて穏やかな波を表現したりと、その表現技法はとても豊かです。

3.露地(または茶庭)

街中のちょっとした自然を作り、その中に茶室を設えたものが露地と言われる庭園です。街中にあるちょっとした憩いのスペースであるため、市中山居と呼ばれているのが露地です。

公園との違い

この様に、日本庭園は自然を表現したり、元々の自然を流用したり、または借景の様に自然の景色を借りて、自然そのものの縮図として表現しているのです。しかし、海外にも庭園の様なスペースはありますよね。噴水や花壇や芝生に囲まれたところ、あれも庭園なのでしょうか?

実はそれは公園と言います。日本庭園は自然を畏怖し尊重しているのに対し、公園は自然を支配した作り方をしています。公園の特徴は左右対称で、特に借景などの技法はありません。前述しました様に、噴水や花壇が配備されています。勿論どちらが優れていてどちらが劣っているという事では無く、それぞれの趣の違いという事です。

庭園を見るポイント

最後に、日本庭園を見るポイントを紹介します。日本庭園は最初は予備知識が無くても結構です。上記した程度の知識があれば十分です。そして、庭園と対峙したら、先ずは自由に見て下さい。心の目でお好きな様に感じて下さい。

自由な発想で見た後は、上記の知識に当てはめて、もう一度ご覧になって下さい。そうやって、見る人自体も自然に回帰する見方をすると、とても癒され、毎回何らかの発見がある事でしょう。

また、同じ庭園でも、季節ごとに装いが変わります。咲く花も異なれば、木々の雰囲気、雪や雨による趣も変わります。ですので、オールシーズンで楽しむ事が庭園のお勧めの観賞の仕方と言える訳です。

是非皆さまがお住まいの近くにある庭園を探して頂いて、自分と対峙する時間を作って下さい。そして、近くにある公園と見比べて、その技法の違いを感じ取って下さいね。

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