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日本的情緒と、オトナのプライド。「和」の国柄を徹底理解しよう

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2013.08.14

「オトナ」と片仮名で書いたのにはワケがあります。単なる「大人」は20歳を超えた人ですが、日本的情緒を肌でつかんでいる大人を、「オトナ」と表記したいのです。ではその「日本的情緒」とは何なのか、これからご理解していただければ幸いです。

大和の国は「和」の国である

昔の人は日本のことを「大和」と書いて、「やまと」と読みました。聖徳太子の十七条憲法の冒頭には「和を以て貴しと為す」とあり、我が国は「和」を最も大切にしてきたお国柄であります。しかしこの「和」というものを、現代人は若干誤解しているように思われます。私たちの先祖は、概ね、次のように考えていたようです。

理屈と道理とは、別のものである。「それは理屈だよ」と言うのは、「屁理屈を言うなよ」という意味合いになる。しかし、「屁道理」という言葉はない。「それは道理だ」という言葉は、「そのとおりだ」という意味合いであり、「道理で」は「なるほど」というのと同じである――と、考えていたわけです。

理屈だけでは腑に落ちない

何を言いたいのかといえば、「和」とは、「理屈よりも道理を尊ぶことである」ということなのです。理屈というのは理論的なものですから、頭では了解できるのです。考え方としては筋が通っていて、間違ってはいないと一応納得はできます。

しかしながら、人間には頭脳のほかに「気持ち」というものがあって、情緒的にはどうも腑に落ちない。理屈では賛成なのだけれども、本心からは賛成できないということがあります。

そんなとき、「腑に落ちることを大切にしよう」「皆の気持ちのほうを理屈よりも尊重しよう」というのが、古来の日本人のやり方でした。実はそれが日本的な「和」の根源にある立場なのではないでしょうか。

情緒的な安定が第一

言挙げしない、議論を嫌う、なあなあでいく、ものごとを曖昧のままにしておきたがる――そういった国民性もそこから出てくるものでしょう。つまりは、理論というものそのものの限界を、本能的によく知っている民族なのです。

人間は理性だけででき上がってはいません。必ず感情を伴うものですし、感情は理屈どおりには運びません。矛盾しています。そもそも「和」というのは、ある意味で情緒的に安定しているということです。ですから「大和の国」は、和やかな情緒の国であったのだと言えるでしょう。

例えば、階級闘争理論などは、なかなか日本人には馴染みにくいもののひとつです。権利意識というようなものも、周囲との対立に結びつきやすい面があるため、正しく根付かせることは容易ではありません。自由という観念も、暮らしの中で何となくしっくりいかないのは、まず個人という意識と概念がぼんやりしていて曖昧だからです。

個人と国家、自由と責任、権利と義務といった事柄の関係性を、国民向けに理論的にはっきりさせようとする試みは、恐らくこの国ではあまり成功しないのではないでしょうか。情緒を切り捨てることが苦手だからです。

多神教の国柄とオトナの立場

若い時は理性を羽ばたかせて、世界を、宇宙を、人間を、理論的に理解しようとするのが当然です。しかしいかなる科学的理論も、所詮は「仮説」にすぎないということに気づけば、盲信はかえって過ちの元であるということにも思い至ります。

日本人は比較的、唯一神を持たない国民性だと言われています。多神教の国柄なのです。だから某国のような宗教戦争は余り好みません。唯一絶対の神が全宇宙を統べていて、その他の神は全部過ちである、とは考えません。

理屈はいろいろあって当然だという、度量の広い温和な考え方に立ち、戦争なんかするくらいなら曖昧なままに「和」をもって握手しましょうよというのが、大和の国のオトナだったのです。(太平洋戦争は例外です)

無責任でいてはオトナにあらず

日本人の倫理は、「恥」「恩」「義理」の3つで成り立ってきた、と言われています。もっとも近年はそれらと無縁な国民がワンサと出てきていることは確かでしょう。かつてそれらを支えてきた「世間の目」とやらが、コミュニティーの崩壊で極端に薄れてしまったのも一因かもしれません。

そんな中でオトナたちは、大和の国のあり方をどう支えていけばいいのでしょうか。「日本的情緒」については理解したとして、八百万の神々はそれぞれ区々まちまちの倫理を持っていますから、結局は自分の胸に聞いて、その都度自分の倫理で行動し責任を取るしかありません。

情緒的安定を求めることは、下らぬ妥協をして無責任でいることとは別です。そのぎりぎりの孤独感と重圧に耐え、熟年らしいプライドを保って胸を張ることが、今のオトナに強く求められています。オトナとしての熟成を心から期待申し上げます。

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