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実は知らずに盛り上がってない?ハロウィンって何のお祭り?

「トリック オア トリート!」お菓子をくれなきゃいたずらするぞ、というこの英語の言い回しも、日本においてもはや秋の風物詩となったと言っても過言ではないでしょう。

街中の店頭はかぼちゃのランタンやほうきに乗った魔女の装飾で溢れ、自治会からは「ハロウィンの訪問にご協力下さい」なる案内まで回覧される。参加していないつもりでも、当日の献立にはかぼちゃが並んでいた、なんていう方もいるかもしれませんね。

このように盛り上がりを見せているハロウィンですが、何の祭りなのかご存じですか?「子供が仮装して、お菓子をもらうお祭り」としか認識していない方がほとんどなのではないでしょうか。

そこで今回は意外と知られていないハロウィンの起源についてご紹介していきます。

ハロウィンは、死者の祭りだった

ハロウィンは、そもそもケルト民族が行っていた「サムハイン」が原点であるとされています。このサムハインとは、夏の終わりを指すもので中世初期のアイルランドにおいては、正式な冬の始まりとされる日とされていました。そしてその前夜には、生者と死者を隔てていた扉が開け放たれ、天国にも地獄にも行けずにさまよっていた死者の霊が地上へと迷い出てくるとされていました。

その霊を受け入れるためにかがり火を夜通し焚いていたとする説もあれば、その霊たちを避けるためにかがり火を焚き、獣などの格好をすることで霊を追い払おうとしたとする説もあるようです。この獣の格好をすることで霊を追い払うというのは、現在の仮装につながる面がありそうですね。

またローマでは、死霊祭として催されていました。死者の霊魂が生きている者を連れ去ってしまうことを恐れていたローマ人は、墓に向かって黒い豆を投げて自らの身代わりとするなどの儀式を行っていたようです。

キリスト教とハロウィン

このように、中世初期までは死者の霊魂を宥めたり、その霊から逃れたりするための儀式であったハロウィンですが、キリスト教がヨーロッパ大陸からイギリスへと伝わった後に、その在り様が変化したとされています。

これまでの死者の儀式を排して、新たにキリスト教の聖人を祭る「諸聖人の祝日」を11月1日に設け、ローマ人が夜に墓で行っていた儀式を日中に移設しました。昼間に家族で先祖の墓を訪れ日が暮れかけたころに、ローソクに火を灯す行事としたのです。だいぶイベント性が強まってきましたね。

そしてその前夜のハロウィンについては、あくまで諸聖人の祝日の前夜祭というポジションにおかれました。あくまで習俗に基づくもので、キリスト教とは関係がないとされたのです。確かにその思想にはキリスト教とは相容れない部分がありますし、そもそも起源もキリスト教とは無関係のものですからね。

日本では、アメリカ伝来ということもあってキリスト教由来と誤解されがちな祭りなので、この点は驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんね。

トリック オア トリートとは

さて、ハロウィンがそもそも死者の祭りであり、キリスト教とは関係ないとわかったところで、この「お菓子をくれなきゃいたずらするぞ」とは一体どこから来た言い回しなのだろうかということが気になりますよね。

しかし、この言い回しが生じた経緯についてはどうもはっきりしません。この言い回しに関して最も古い記述は、1939年のオックスフォード英語辞典にあるのですが、この時点では「いたずら」とは、なぞなぞの宿題を出す、などとかわいらしいものであったことがわかるだけなのです。

19世紀のアイルランドにおいて、ハロウィンに未婚の女性たちが畑のキャベツを抜いて将来の伴侶について占いをした慣習があり、占い後に玄関わきに置かれたキャベツを使ったいたずらがあったことが由来するという見解もあるようですが、はっきりしたことはわからないようです。古い起源の祭りであるゆえの曖昧さなのでしょうか。

かぼちゃをくりぬくのは

ハロウィンの飾りとして外せないのがかぼちゃの提灯です。かぼちゃを丸ごと買ってきて、三角の目や牙を生やしたような口をくりぬき、最後にろうそくを入れて火を灯します。

これは、悪魔をからかって地獄に入れなくなったジャックという男が、天国と地獄の間を行ったり来たりすることになり、行き先を照らすため蕪の提灯を持っていたという、アイルランドの伝説を由来とするものです。この伝説がアメリカに伝わった際に、提灯の素材が蕪からアメリカでよく採れるかぼちゃに変わったとされています。

この提灯を作ることで、悪霊を追い払うことができるとされており、ハロウィン定番の装飾となったようです。

このようにハロウィンは各地の習俗を飲み込む形で現在まで続いてきています。そのせいか起源に謎が多く、日本でもハロウィンについての理解が進まないようです。今年はこの謎の多い祭りに、あなたも思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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