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イプシロンって、何がすごいのか?マニアだから自慢できる内緒の話

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2014.05.07

6月2日、イプシロンロケットを載せた大型トレーラーが故障、なんと発射場手前で立ち往生してニュースになり、8月27日には発射寸前でよもやのストップ!

どうもあまりカッコ良くないイメージのイプシロンロケットですが、実はカッコ良くないどころか、すごい実力のロケットなのです。

7年ぶりの固体燃料ロケット

日本のロケット開発は、はやぶさなどを成功させたM-Vなど固体燃料ロケットを運用する宇宙科学研究所と、HⅡAなど大型の衛星を打ち上げられる液体燃料ロケットを運用する宇宙開発事業団の二本立てで行われてきました。

しかし2003年には航空宇宙技術研究所とも統合、一つの組織JAXAが生まれたことで2006年M-Vは廃止となってしまい、大型固体燃料ロケットの生産は止まっていたのです。したがって、今回のイプシロンロケットは、7年ぶりに生まれた大型固体燃料ロケットなんです。

HⅡに比べたら小さいじゃん!

なぁんて言われそうですが、その通りです。液体燃料ロケットのHⅡシリーズのペイロードは低軌道で10t以上あるのですが、こうのとりのような貨物を届ける衛星や、特殊な観測の大型衛星ならともかく、世界のニーズとしては1t前後くらいの商業衛星などの需要が多いのです。

したがって、85億円以上ともいわれる打ち上げコストを埋めるために複数の衛星を積むような努力もされているのですが、もっとコストが安くて使いやすいロケットが求められていたわけです。

そもそもロケットというのは、高度な精密部品の塊で部品の数も多い、しかも大きいので工場から完成品で出るのではなく、発射する場所で何か月もかけて組立てて、テストをするわけです。

打ち上げは一回だけのチャンスですから、徹底した試験や確認が多くの技術者によってなされるので、発射管制室には100人を超える技術者が集まってしまうことになります。

費用がかかるわけですよね。固体燃料ロケットというのは、本来非常にシンプルな構造なので、液体燃料ロケットに比べて、部品数も少なく、作業も大幅に軽減できます。

発射前に大量に燃料を入れる液体燃料ロケットと違って、元々固体燃料はセットされているわけで、使いかっての良い運用ができる要素もあるわけです。

イプシロンのここがすごい!

今回は一号機なので、液体燃料ロケット並に運用されていますが、将来打ち上げ費用はHⅡシリーズの半分以下、30億円以下に下げられるそうです。

なぜこんなに安くなるのか?

先に述べた液体燃料ロケットに比べれば、構造がシンプルという特徴を生かして、人工知能「ROSE」(Responsive Operation Support Equipment)ローズと呼ぶ自律点検システムを持っていて、今まで非常に時間をかけていた点検作業が、イプシロン自体が自分で各所をテストして正常に機能することを確認してくれるわけです。

これによって、作業の時間が大幅に短縮でき、作業の技術者も大幅に減らせるわけです。しかも、このROSEと管制装置をインターネットでつなぐことにより、数台のパソコンと数人の管理者で発射できるといいます。

要は、それだけ費用も安く、運用が簡単になる、ということですね。このことは外国から依頼を受けた商業衛星の打ち上げという、国際的なビジネスも視野に入っているわけで、今後が大きく期待されている、イプシロンロケットなのです。

HⅡロケットは開発段階から、色々話題になってきましたが、イプシロンロケットは最近までほとんど報道されませんでした。

その大きな理由は、非常に使いかってがよい衛星打ち上げ能力のある固体燃料ロケットが、軍事転用できるからです。

発射したいときにぱっと出せる能力は、まさに大陸間弾道弾向きの技術なのですね。でもね、戦略兵器が意味を持たなくなってきた時代です。・・・そんなこと考えるより

「通信衛星が故障してしまって・・・ 急ぐのですが・・・」
「毎度~♪では火曜日の昼までに内之浦まで衛星を届けてください、徹夜で作業しますからね、そうすれば水曜の夜には軌道に乗せます、とりあえず明日中には半金の○○億円銀行に振り込んでくださいね〜」

こんな世界を実現するためのロケットなのです。

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