法テラスは無料で利用できる？法律相談や立て替え費用免除の条件

「弁護士に相談したいけれどどうやって探せばよいのかわからない」「債務整理したいけれどお金がない」などの悩みをお持ちではありませんか？

そんなときは「法テラス」の利用がおすすめです。

この記事では法テラスとはどのような組織なのかを説明し、利用条件や費用についてわかりやすく解説します。

法テラスってどんな組織？業務内容は？

法テラスの正式名称は「日本司法支援センター」ですが、「法テラス」と呼ばれるのが一般的です。2006年、国によって設置され、全国各地に100ヵ所以上の窓口があります。

法テラスは、刑事・民事事件を問わず「法律の総合案内所」としてサポートしてくれる組織です。具体的に次の6つの業務を行っています。

• 情報提供業務
• 民事法律扶助業務
• 犯罪被害者支援業務
• 国選弁護等関連業務
• 司法過疎対策業務
• 受託業務

「情報提供業務」は、必要に応じて弁護士や司法書士を紹介したり、法制度に関する情報を提供したりする業務です。

「民事法律扶助業務」は、経済的に余裕のない人を対象に、弁護士や司法書士を紹介して無料で法律相談を行ったり、費用を立て替えたりする業務です。

利用するには、次の要件を満たす必要があります。

• 収入や資産が一定以下であること
• 解決の見込みがあること
• 民事法律扶助の趣旨に反しないこと

収入や資産の要件は、家族の人数や住宅ローンの有無などによって基準が変わります。詳しくは法テラスのHPをご覧ください。

「犯罪被害者支援業務」は、犯罪被害者とその家族の苦痛を軽減するためにサポートする業務、「国選弁護等関連業務」は、身柄を拘束された被告人に対して弁護士を選任する業務です。

「司法過疎対策業務」は、近くに法律相談所がない人口の少ない地域に地域事務所を設置して司法の過疎化を防ぐ業務です。「受託業務」は、国や自治体、日本弁護士連合会などから委託を受けたときに行う業務です。

民事法律扶助の費用の立て替えは返済義務があるが、免除される人もいる

民事法律扶助を利用して立て替えてもらえるのは、以下の費用です。裁判所に支払う予納金などは原則立て替え不可です。

• 着手金…弁護士や司法書士に依頼した時点で必ず発生する費用
• 実費…印紙代や切手代、鑑定費用、交通費など
• 報酬金…結果に応じて弁護士や司法書士に支払う費用

返済が滞ると、普通の借金と同じように、電話や手紙で督促されたり裁判沙汰になったりするので、きちんと返済しましょう。

しかし、生活保護者受給者や一定の条件を満たした場合は、立て替え金の返済が免除されます。

生活保護受給者は返済が全額され、本来立替てもらえない裁判所への予納金も立て替えてもらえます。

生活保護者でなくても、資力が一定以下であったり、病気やケガなどやむを得ない理由がある場合は免除の対象となります。事件終了後に償還免除申請を行ってください。

法テラスのメリット・デメリットには何がある？

法テラスのメリットは、次の3つです。

• 要件を満たせば無料相談を利用できる
• 要件を満たせば費用の立て替え制度を利用できる
• 費用の総額が安くなる

法テラスの無料相談は、1つの案件につき1回30分の相談を3回までできるので、一度相談して疑問があった場合に再度違う弁護士に相談することも可能です。

立て替え制度を利用できれば、まとまったお金を用意できなくても弁護士に依頼してトラブルを解決できるでしょう。

また、法テラスに紹介してもらう弁護士や司法書士の費用は一般的な法律事務所の相場よりも安く設定されているので、費用を抑えられるというメリットもあります。

一方、法テラスのデメリットは、次の3つです。

• 要件を満たさないと利用できない
• 審査結果が出るまでに時間がかかる
• 弁護士や司法書士を指名できない

無料法律相談や費用の立て替え制度を利用できるのは、経済的に余裕のない人たちです。誰でも皆利用できるわけではない点はデメリットでしょう。

制度を利用できるかどうかの審査に時間がかかるのも、解決を急いでいる人にとってはデメリットです。審査結果が出るまでには2週間～1ヵ月かかります。

また、法テラスでは弁護士や司法書士を指名することはできないため、その分野を得意としない弁護士や司法書士が担当になる可能性もあります。

債務整理を検討しているなら法テラスがおすすめ！

法テラスは、離婚や相続、交通事故などさまざまな法的トラブルの解決を手助けしてくれる組織ですが、中でも借金問題を解決したい方には特に法テラスの利用がおすすめです。

借金問題は、「国が認めた借金救済制度=債務整理」で解決が可能です。債務整理とは、借金を減額したりゼロにしたりする手続きの総称で、法テラスを利用して行うことができます。

債務整理にはある程度まとまったお金が必要ですが、借金問題を抱えている方は、「返済だけで精一杯なのに債務整理費用なんて払えない」という方が多いでしょう。ぜひ法テラスを利用して債務整理をしてみませんか？

法テラスを利用して「任意整理」したときのメリット

債務整理にはいくつか種類がありますが、任意整理は最も利用者の多い手続きです。債権者と直接交渉して利息をカットしてもらったり返済期間を伸ばしてもらったりする方法です。

一般的な法律事務所で任意整理を依頼すると、着手金や実費、減額報酬を支払う必要があります。減額報酬は、借金を減額してくれた弁護士や司法書士に対して支払う報酬金ですが、法テラスでは減額報酬を支払う必要はありません。

法テラスを利用して「自己破産」したときのメリット

借金解決の最終手段として知られる自己破産は、どれだけ借金を抱えていても裁判所から免責許可が下りれば借金をゼロにできる手続きです。財産を処分されない同時廃止事件と処分される管財事件の2つがあります。

一般的な法律事務所で自己破産を依頼すると、同時廃止事件では約30万円、管財事件では50～80万円ほどの費用がかかります。

この中には免責許可が下りたときに弁護士や司法書士対して支払う報酬金である成功報酬が含まれていますが、法テラスでは成功報酬を支払う必要はありません。

自分にとって最適な債務整理方法で借金を解決しよう

どの債務整理が適しているかは借金の状況や収入の状況などによって異なります。
債務整理は借金を減額したり免責したりできるメリットがある反面、ブラックリストに載るなどのデメリットもあります。

ブラックリストに載るとローンを組んだりクレジットカードが使えなくなったりしますが、載るのは約5～10年で、その期間を過ぎれば解除されます。弁護士に相談する際にメリット・デメリットを聞き、理解した上で手続きするとよいでしょう。

お金がない人の心強い存在！法テラスを気軽に利用しよう

法テラスは定められた要件を満たす人や早期解決を求めていない人、依頼する弁護士にこだわりはないという人などにとっては頼れる存在となる公的機関です。

費用を抑えながら法的トラブルを解決したいという方は、ぜひ一度法テラスに相談してみてはいかかでしょうか？