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秋の山は走って堪能!「トレイルランニング」の楽しみ

スポーツの秋がやってきた

無限に続くかと思われた、千年に一度の猛暑もようやく終わりの気配が感じられ、朝晩の涼しさに秋の訪れを想わせる快い気候になった。風景も徐々に緑から黄金色に移ろいつつある、一年で一番美しい季節がやってきた。

東京オリンピックの開催も決定し、この秋に新しいスポーツやアクティビティを始めることを考えている人も多いだろう。何かを始めるには最高の時期だ。

これからの季節はトレランがオススメ

さて、世界遺産になって注目を集めた富士山は、先日9月2日をもって山納めとなったが、実は登山もこれからの季節が一番面白いと思う。

秋は木々が明るく色づいて綺麗なだけではなく、森の中の風通しがよくなることで見晴らしがきき、景色を堪能できるだけでなく、遭難の危険性も下がる。ヤマビルをはじめとした不快な虫たちの活動は鈍くなり、被害も受けにくくなる。そして何より、秋は木の実やキノコなど、お土産がたっぷり期待できるのが良い。

涼しくなった山は普通に登るのも楽しいが、健脚家ならぜひ挑戦してもらいたいのが「トレラン」である。これは「トレイルランニング」の略で、山道を使ったランニングだと思ってもらえると良い。

近年大変流行しており、よく山に行く方なら、軽装の集団が山道を駆け抜けていくのを見たことがある人も多いのではないだろうか。一見敷居が高そうに見えるが、一度挑戦すると普通の登山では物足りなくなってしまう。この魅力たっぷりのスポーツについてご紹介したい。

コツは「頑張りすぎない」

トレランが趣味だというと、よく「普通に登るだけでもきついのに、すごい体力だね」とか「ゆっくり景色を堪能する暇もなさそう」なんて言われるのだが、これには少し誤解がある。

かつてマラソンランナーの宗兄弟は富士山を走って登るトレーニングをしたというが、普通の人は「山を走って登る」なんて行為はきつくてやってられないだろう。

実は、多くのトレイルランナーにとってもこれは同じことである。ちょっとした丘陵のアップダウンや舗装された峠道なら走ることはできるが、木の根や岩が露出した自然のトレイル(小路)を走るのは危険が伴うし、普通の登山客の迷惑にもなる。

それに、ずっと根詰めて走っているのではマラソンと同じで、わざわざ山に来てする意味がない。自然の中を走るのだから、景色や空気をたっぷり堪能したいのは誰だって同じである。

だから多くのトレイルランナーは、走るのは平坦路と下りだけだ。普通に登ってビューポイントや山頂はしっかり堪能し、そして平坦な道や下るときだけちょっと頑張る。これでも十分にトレランを楽しむことができる。

下りで走るのは理にかなっている部分もあって、下り坂で足を突っ張りながら下りるのと、軽快に駆け降りるのでは膝まわりの筋肉の疲れに大きな差が出る。衝撃を足全体で受け止めきってしまうのではなく、次のステップのための運動エネルギーに回すことで力のロスを防ぐのだ。

トレランで楽しむ『縦走』

さらに、走れるところは走ることで時間の大きな短縮が図れる。これにより、普通の登山から一歩進んだ「縦走」をより手軽に楽しめるようになる。

縦走とは、一つの山頂を目指すのではなく、連山や山塊のいくつかの山頂を尾根伝いに登頂していくものだ。健脚の代名詞であると同時に、山小屋での宿泊などを含むことが多く、素人にとってはなかなかハードルが高い。しかしトレランなら一日にクリアできる距離が延びるので、ちょっとした山塊なら日帰りでも縦走ができる。

筆者のおすすめ縦走路は、神奈川が誇る日本百名山「丹沢山」を駆け抜けるものである。行き帰りの交通の便や道の整備具合、標高差や距離などどれをとってもちょうどよく、初めての縦走トレラン以来、年に数回は必ず行く定番のコースになっている。

スタートは北西部の宮ヶ瀬湖沿いにある「高畑山・丹沢山登山口」である。小田急本厚木駅からバスが出ており、アクセスも容易だ。そこから高畑山を経由し、本格的な登山者も多い丹沢三峰を通過して丹沢山頂をクリアし、絶景で知られる塔ノ岳を越えて、都心からのアプローチが便利な大倉に降りる、全長22kmほどのコースだ。

人が少なく静けさを楽しめる宮ヶ瀬を登り、にぎやかで帰りやすい大倉に降りることで登山やトレランの楽しみを味わいやすく、遭難やケガなどの非常事態にも対応しやすいルートになっている。

間違えやすい道もなく、所要時間も10時間ほどと初心者でも簡単に楽しめる。なお、トレッキングポールがあれば道中がより楽になるだろう。平地で休まず5kmほど走れる人なら、きっとクリアできるコースだと思うので、チャンスがあればぜひ怖がらずにトライしてみてほしい。

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