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文明という尺度で世界史を見て、国際紛争の根源を見詰めよう

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2013.11.29

21世紀は「文明観」が世界を動かす世紀ではないかという気がいたします。モノの奪い合いが国家間の戦争を生んだ世紀は、ぼちぼち過去のものになっていくのではないでしょうか。

これからは文明の温度差や、文化の手触りの違いが、国家間のいろいろな軋轢を生む主因となっていくことでしょう。もちろん経済摩擦は、今後も収まるどころか激しくなっていくかもしれませんが、それがもとで苛酷な戦争になるという可能性は、徐々に低くなっていくと考えられます。

宗教観というもの

ところで、文明の底辺にあるものは、実は宗教観なのです。そう言うと、今の日本人は「私たちは宗教心なんて持っていませんよ」と言うかもしれません。でも、無神論というのも一つの宗教観なのです。神はいないという考え方の中にも、既に宗教観が存在しています。

日本的信心の本質

今使われている「宗教」という言葉には、西欧的なレリージョンの匂いが既にしてつきまとっています。それは神と人との一対一の契約が信仰である、という本質を持っています。

しかし日本では、元来は「信心」という言葉をよく使っていました。信心とは、「信じる心」もしくは「心を信じる」ということですし、神と言っても唯一の神ということではありませんでした。八百万(やおよろず)の神々というように、全てのものに神が宿っているという汎神論で、入信とか洗礼とかという観念もなかったのです。

縄文人は何を信じていたのか

では昔の日本人は何を信じたのか、何を仰いだのか、実はこういう身近なテーマに思いを巡らせることこそが、国の文明観をたずねることにつながっていくのです。

民族の自然観、人間観、宇宙観、生命観――これが文明の根源にある観念なのです。縄文人や弥生人たちは、一体何を信心して生きていたのでしょうか。

まことの道にかなう生き方

心だにまことの道にかないなば 祈らずとても神や守らん
心だにまことの道にかないなば 守らずとても我はかまわん

この和歌には、日本的な信心のあっけらかんとした形が実によく表現されていると言われています。天真爛漫と言ってもいいでしょう。ご利益一辺倒で、神の恵みにすがりついて、神の奴隷になって生きていこうとするような性質は、全く見られません。あくまでも生きた人間が中心なのです。「罪」という意識も薄かったようです。

合金の宗教

日本人には、民族のバイブルがないと言われます。純金ではなくて、合金の宗教観を持ち続けてきた国民だとも評されています。無論、宗教には純金の部分と合金の部分とが必要なのです。

金と錫とを加熱すると、互いの癖が抑えられて合金になります。神道・仏教・儒教・道教・キリスト教などなどを溶かし込んで合金にしたものが、日本教だと言われます。

江戸時代にできた武士道も、人間の生き方としては、立派な宗教であると言っていいでしょう。庶民の間には「心学」といった「生き方の教え」が普及していました。

日本人があいまいであるワケ

日本人の国民性として、「あいまいさ」がよく指摘されています。それは、合金だからあいまいなのです。純金は単純で明快ですっきりしていて分かりやすいものです。でも純金は柔らかすぎてものの役には立たないために、合金にして実用化するわけです。

日本人は、実用を尊ぶ国民です。抽象化した机上の空論はあまり好みませんから、体系的思考はあまりしません。だから哲学は苦手なのです。言挙げしないという性質も、そこに根があります。議論が苦手で、整然としたディベートなどはできたためしがありません。

国家間の価値観が衝突している

日本人は理屈とか論理とかに、すぐ不純物をこき混ぜて、中庸を取ってバランスよく人間関係を保つのです。そうは言っても、中華料理風の何もかもぶち込んだ状態は好まず、刺身のようなあっさり系の文化が大好きです。

そこら辺の微妙な国民性の在り方は、日本の伝統的な文化を仔細に検討してみれば、誰にでもよく分かることです。日本文明特有の性格については、いろいろな先人が指摘しており、必ずしも中国大陸と西欧の文明の亜流だとばかりは言い切れない所があります。極東の国日本の、文明的特質について注目している学者は少なくありません。

一大世界文明の誕生はあるのか

現代の各種国際紛争は、各国の文明の衝突、価値観の激突といった様相を呈していると言えそうです。地球を包括して互いに齟齬のない一大世界文明が誕生してくれれば、いずれは平和で自由で平等な理想世界の創造につながっていくのではないでしょうか。日本文明がその先導役を果たす日が、もしかしたら来るのかもしれませんよ。

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