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せっかく司法試験に合格して弁護士になったのに年収70万円!?

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2013.07.12

せっかく弁護士になったのに年収が70万円なんて弁護士も少なくないと言います。「イソ弁」「宅弁」「即弁」と呼ばれる新米弁護士達の中で、「宅弁」「即弁」の場合がこのようなケースだそうです。要するに弁護士が余っているのです。これでは巷のワーキングプアと同じです。

新司法試験導入の誤算

旧司法試験時代は、司法試験が難しすぎて日本の弁護士の数は2万人に届かなかったそうです。日本の人口から考えると9千人に1人の割合だそうです。西欧諸国で最も弁護士が少ないと言われているフランスでも4万人はいるそうです。それでも日本の2倍です。一方、アメリカでは80万人以上も弁護士がいるので、300~400人当たり1人の割合です。

ここまで多いと訴訟の数も多くなり、アメリカでは、結婚生活10年目の妻が、「夫が『愛している』と言ってくれなくなった」ということまで裁判になったとテレビで見たことがあります。そして妻が勝訴したのだとか。日本ではあり得ない話ですね。

日本は弁護士の数が少なすぎて、トラブルに弁護士を介入させることを一般の人はあまり考えません。敷居が高いのでしょう。そこで、弁護士の数を増やして、一般の人にもう少し弁護士を身近に感じさせるために、弁護士の数を増やす政策を政府が取り始めたのが新司法試験制度です。

政府のこの司法制度改革では、アメリカの司法制度を参考に、司法試験に合格しやすいように、ロースクールを設立してロースクール卒業者を新司法試験の受験資格としました。そして年間の司法試験の合格者3,000人という目標まで設定されました。こうして、新弁護士は毎年どんどん増えていきます。

しかし、司法試験合格者のその後の制度は昔と全く変わらないのです。司法修習を修了して、弁護士・検事・裁判官が誕生します。検事と裁判官は公務員なので就職に困りませんが、弁護士となった人達は、昔のように就職先を保証されていないのです。

まず、見習い弁護士としての居候弁護士、所謂「イソ弁」の受け入れ先の既存のベテラン弁護士事務所の数がまだまだ少ないのですから当然でしょう。毎年3,000人誕生する新米弁護士のためにイソ弁として就職できる弁護士事務所が不足してくるのは目に見えています。案の定、イソ弁として弁護士事務所に就職できない弁護士が巷にあふれ始めました。

こうしてイソ弁になり損ねた弁護士達は、ペーパー弁護士にならないために、自宅や賃貸事務所で弁護士事務所を一人前になる前に開業するのです。そして、「イソ弁」と区別して、自宅で開業した弁護士を自宅弁護士、略して「宅弁」と呼び、司法修習終了後に弁護士事務所を即立ち上げた弁護士は、略して「即弁」と呼ばれています。

「宅弁」や「即弁」も、弁護士バッチをした弁護士会に所属しているちゃんとした弁護士です。しかし、「宅弁」や「即弁」は、名前が売れていないし、実績もないので、お客を呼ぶために弁護士費用を安くしたり、弁護士会の法律相談や当番弁護士を率先して引き受け何とか経営しようとがんばります。こうしてやっと年収70万程度なのだそうです。

この宅弁や即弁さん達のがんばりは認めますが、知らずに弁護を依頼したお客さんにとってはいい迷惑です。当番弁護士の刑事事件の弁護ができるのでしょうか。無罪になるべき人や刑が軽くなるべき人が十分な弁護を受けられないことになりはしないかと何とも不安なものです。

このように政府の司法制度改革は、弁護士をたくさん誕生させることだけしか考えず、司法修習を修了した弁護士の卵たちの成長に対する政策は何もされていません。これでは、宅弁や即弁になった弁護士の卵たちが、私には、まるで生まれてすぐに捨てられたコインロッカーベービーのような気がします。

私だけでなく、ニュースでも話題になっていました。何しろ、ロースクールの学費だけでも国立で600万円以上はかかります。普通の大学生のようにバイトをする時間は無いそうなので、独り暮らしをするなら生活費と授業の他に必要な資料費等もかかります。

私立のロースクールで独り暮らしの場合は、1,000~2,000万円程用意する必要があるのだそうです。こんなにお金をかけてやっと弁護士になって、年収70万円そこそこでは、何ともせつない話です。

稼げる弁護士になりたいなら

ロースクールを卒業した新司法試験受験者の合格率は、旧司法試験時代に比べ断然合格率がアップしました。経済的余裕のある、ある程度頭の良い学生は、ロースクールを卒業して結構簡単に新司法試験を突破してしまうのだそうです。しかし、司法試験は合格してからの方が難しいのです。

司法修習を修了するまでさまざまな課題をクリアしなければなりません。弁護士だけでなく、裁判官・検事の現場も体験します。また、課題のため用意された仮想事件を想定し、実際の法定資料の書き方を学ぶだけでなく、検事ならその事件をどう処理し起訴すべきかどうか、裁判官ならその事件の判決文を作らされます。

こうして、司法の全てを経験し、最終的に司法のどの世界に足を踏み入れるのかを決めなければなりません。また、司法修習の卒業試験の結果、裁判官、検事、弁護士の基準点数が決まっています。卒業試験に合格さえすれば、誰でも弁護士になれますが、裁判官と検事はかなりの高得点を取らなくてはなりません。

一番難しいのが裁判官で、次が検事です。そのため、裁判官や検事は辞職した後に弁護士になれるのです。一方、いくらトップの成績を取っていても弁護士になってしまえば、検事や裁判官には転職することができないのです。

さて、ここからは筆者の個人的意見です。まず、本当に頭がよくて、法曹界向きの正義の人だけが司法試験を目指すべきです。そして、若いうちは国家公務員として、裁判官や検事として活躍できるようがんばってみるのです。

国の政策には反しますが、国の政策よりも自分の人生です。司法修習終了後、宅弁や即弁の道しかなく、ワーキングプアの人生突入になるくらいなら、弁護士を目指すのは利口な手段ではないでしょう。

簡単になれるものではなく狭き門となりますが、検事や裁判官は公務員ですから、司法修習を終了したら即国家公務員として新米検事や新米裁判官として簡単な事案を扱う部署から配属され、転勤は多いですが、国がしっかりと教育してくれます。実力が認められれば着実に上へと出世して行けます。

そして、もし有能な裁判官や検事が辞職を申し出たら、法曹界は狭いので噂はあっという間に広まり、弁護士に転身しても大手弁護士事務所からパートナー弁護士として引く手あまたでしょう。確実に高報酬が約束されるのです。

但し、弁護士への転身を目指しながら検事や裁判官を目指すような不純な動機で生き抜いていけるほど法曹界は甘くはありませんよ。そこは肝に銘じておきましょう。

少し横道にそれましたが、大手弁護士事務所で十分に活躍した後、いよいよ大手弁護士事務所を退職して引退する時期になったら、宅弁になりましょう。今度は安い報酬で、或いは時には手弁当で、一生弁護士を貫くのです。

「町の赤ひげ先生のような『身近なお爺ちゃん弁護士』がいても良いのでは?」と私は思います。この『身近なお爺ちゃん弁護士』は、法曹界の大ベテランとして名高い人なのです。そんな人がいつでも気軽に相談に乗ってくれるなんて、こんな心強い事は無いと私は思うのです。

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