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先輩の作業を見ているだけの研修生は理解しているのか?

夫と一緒に今日銀行でNISA手続きをしてきました。2人分の手続きを同時にこなす先輩行員の後ろで研修中の新人社員がじっと見ています。その作業の手際の良いこと!必要な書類をまとめてお客様に手持ち時間を作らせないほど次から次へと手続きを進め、研修社員に「これは○○の書類です。○○して来て」と後方手続きをさせていました。

1時間で2人分の手続きが終わってしまいました。その間研修社員さんは後ろから先輩の作業を見ていました。でも、先輩の手続きのスピードに研修社員さんは理解できていたのでしょうか。

経費削減で新人研修が短くなった影響

昭和の時代の新人研修は、終身雇用が当たり前でしたから一旦入社すると女性は結婚するまで、男性は定年になるまで働くのが常識でした。そこで、入社すると会社は新人教育に時間とお金をかけて、配属が決まったら即戦力として働けるようにとしっかりと教育していました。

ところが、最近は若い新入社員はすぐ辞めてしまうし、せっかく育てたかと思うと辞められてしまったりで、この不景気にお金をかけて社員教育をしても辞められてしまったら経費の無駄遣いです。そこで、無駄な給料を払わなくても良いように研修は働きながらということになったようです。

ところが、何もわからない新人を現場に出されても、教育係になった社員は仕事が増えるばかりです。過繁期は特に自分の仕事で精一杯なのに、新人教育どころか、新人さんにはせめて邪魔にならないようにしていてもらいたいと思ってしまうでしょう。その結果、「ちょっと見てて」ということになり、新人さんは雑用係になってしまうわけです。

何の説明も無く見ているだけでわかるデスクワークなんてあるわけがありません。お客様の邪魔にならないように、先輩の邪魔にならないように、ただ座って見ているしかない新人さん。「座って見ているだけでは新人が可哀そうだ」と先輩が理解してくれていないと研修生が可哀そうです。

見ているだけの研修生

毎日毎日見ているだけの研修員さん。見ている間どういう気持ちでいるのでしょう。先輩が作った書類に目を通すわけにも行きません。下手に触って、ゴチャゴチャになっては先輩を煩わせて、お客様もお待たせしてしまいます。

だからと言って、研修生を座らせて見学させているだけなら、それこそ給料の無駄遣いです。同じ給料を支払うなら、現場に立たせず研修期間で手続きのやり方等を全てマスターさせた方が、見学させているより同じ期間ではるかに成長するでしょう。

人事が現場をわかっていないでしょう。特に銀行のような窓口業務が多い場所では、手続きに不備があっては、全ての手続きが無効となってしまいます。そしてもし研修生がうっかりミスでもした場合は、お客様にもう1度銀行にご来店頂かなくてはならなくなってしまうのです。そうなっては大変です。

また、手続きが遅いと「時間が無いから」という理由で手続きを止めてしまう可能性もあります。ですから、手続きに来た新規のお客様は逃がしてはいけないのです。このような理由から研修生がお客様で実際に研修するわけにはいかないのかもしれません。

それなら、中途半端で現場に出したらいつ研修生は手続きを覚えるのでしょう。銀行が閉まった後、書類を見て先輩が神業のようなスピードで行っていた手続きの手順を自分で学習するしかないのでしょうか。それも難しいことですね。

こんな環境で、失敗すれば先輩に叱られ、ただ見ているだけで邪魔にならないように先輩の仕事を見ながら雑用をこなすことこそ神業です。こんな日々が続いていては、研修生のストレスはいかばかりか、可哀そうな気がしました。

こんな環境で結果だけを求められたのでは、最近の若者が会社をすぐに辞めてしまう理由も理解できるような気もします。「最近の若者は辛抱が足りない」というよりは、環境が悪いような気もしました。でも、先輩に言われるままで、自分で工夫して努力しようという意思が感じられないのも事実です。

お客さんのように横に座って目を白黒させながら先輩の手先だけを見つめるのではなく、同じ書類を持ってきて、自分の手元で先輩と同じ作業を傍でするとか、昔は「見ていなさい」と言われてもそれくらいはやっていたような気がします。「言われたら言われた通り」これが今の若者の特徴かもしれません。

研修がしっかり行われていた時代は、「先輩の背中を見て覚えなさい」と言われても、自分の常識で先輩を見て学習し、わからないところは質問する意気込みがありました。今こそ、しっかりと研修をしてあげないと、いつまでたっても研修生は成長しないのかもしれません。

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