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「景気がいい」という言葉をそのまま鵜呑みにしてはいけない理由

景気がいい、となんだかいいことみたいに感じるけど

よくニュースで、「景気がいい」とか「景気が改善された」とか「好景気」とか言いますよね。「いい」とか「改善」とか「好」とか、いい感じの言葉なので、「景気がいい」と言われると、なんだかイイコトいっぱいありそう!と楽しい気分になってきたりしますが、はっきり言って、それは誤解です。

この「景気がいい」という言葉、ちょっと誤解を招く言葉なんですよね。「景気がいい」という言葉を正確に言い換えると、「世の中に出回るお金の量が増えた」または「増えている状態である」ということ。

日本で言えば、日本社会に出回っている「円」の量が増えているというのが、「景気がいい」「好景気」、減っているのが「景気が悪い」「不況」ということになります。

お金の量が増えるんだったらいいことじゃないの、と単純に考えるのは早計。それは世の中の物品、つまり物の量とお金の量の相関関係にも関わることなので、一概に「お金」の量が増えれば皆、暮らしが豊かになる、楽になる、というふうにはいかない場合もあるのです。

インフレとはお金の量が増えること

「景気がいい」=「世の中が豊かになる」というのは誤解、というか言葉のマジックです。世の中が豊かになる、という状態はお金が増えるという状態ではありません。それは「使える物」「消費する物」が増えるから豊かになるのであって、結局物が増えずにお金だけが増えても、暮らしはよくならないのです。

「物」に比べて「お金」の量が増えるとどうなるか。そうなると物の値段が上がる、つまりそれはインフレということになります。インフレとは、物の量に比べてお金の量が増えてしまう状態のことを言うのです。

なぜお金の量が増えるのか。その理由はいろいろあります。主な理由を挙げると、

① 政府、中央銀行の意図により、お金の流通量を増やす(単純に言えば、お札を刷りまくるとか、国債を発行するとか)
② 企業活動とかが拡大、活発化して借金が増える(つまり借金が増えると利息が発生するので「お金」の量が増える)
③ 輸出超過で他の国からお金が入ってくる
④ 会社の株が値上がりし、外国人投資家などのお金が入ってくる

などです。最近の「アベノミクス」というやつは、この通貨量を意図的に増大させる政策。それがインフレターゲッティングという奴。日本のような経済規模がものすごく大きい国で、このインフレターゲティングをやるのは世界でも前例がありません。これはいろいろな矛盾も感じられる経済政策です。

なぜかと言えば、これは「卵が先か、鶏が先か」みたいな話だからです。「景気がいいから物の値段が上がる」ではなく「物の値段を上げて景気をよくしよう」という政策だからです。

しかしこれ、一概に本末転倒の政策とは言い切れません。なぜならそれは、グローバル経済、世界市場の問題と絡んでいるからです。

しかし、物の量が増えないとバブル経済になってしまう

基本的には、「景気がいい」というのは単純に「いいこと」という訳ではありません。

でも世に出回る「お金」の量が増える現象、ということは、基本的に企業活動が活発になる、つまりお金儲けできるチャンスが増えている時に起こるものなので、インフレが表面化してきた時は、「商売が繁盛している」と見ることができる、という意味で「いいこと」なんだ、という論法になる訳です。

しかし、最近はそうとばかりは言えなくなってきているのです。なぜなら、昔に比べて経済のグローバル化がものすごく発達しているので、別に商売自体がうまく行ってない、「物」の量が増えていなくても、インフレが起こることがたびたびあるからです。これを「実体経済と市場経済のズレ」とか言う。

実体経済の状態とは別に市場経済が過熱して、「お金」の量が爆発的に増える現象を「バブル」と言います。知ってのとおり、「バブル」というのは、いつか弾ける。

日本では昭和末のバブル崩壊が有名ですが、実はその後も日本国内外でバブルは頻繁に起きています。今一番「バブル的で」危険な兆候を呈しているのが中国です。このお話も含めて、世界経済と「お金」のお話は、また次回にしましょう。

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