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仕事ができる人は、環境の変化についていく努力を怠らない

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決してお年寄りを侮ってはいけないということを、最近は特に痛感します。老人はどうしてもバイタリティーが足りないとか、新しいことにチャレンジする気概がそもそもないとか、そういうイメージを一方的に抱いてしまいがちです。

少なくとも、かつての私はそんな考え方の持ち主でした。

人生八十年と言われる時代を前にして、近頃のお年寄りは元気なものです。単純に体力が有るか無いかという問題だけではなく、流行りのものにも詳しい。私はそういう人に出会ったことがないのですが、ひょっとするとAKB48のメンバーを全員、そらで言えるお年寄りもどこかにいるかもしれませんね。

それはともかくとして、私の周りにけっこう目立つのが、機械に強いお年寄りです。携帯端末やパソコンを使いこなすのはもちろんのこと、ミクシィやフェイスブックに自分のアカウントを取得して、さまざまな人と積極的に交流を図っている人もいます。

もともと、これらSNSの類は、誰でも簡単に登録して楽しめること、を念頭に置いて設計されたサービスなので、お年寄りが使っていることだけを考えれば、それほど驚くべきことではないのかもしれません。ただ、私が純粋に驚いているのは、今や多くのお年寄りたちが、時代や環境の変化に、きっちりとついていこうと努力している、その姿勢です。

時代の変化というものは常に目まぐるしいものです。なにしろ、世の中にはこれだけたくさんの人がいますからね。ものすごいスピードで、あらゆるものが変わっていくことは無理のないことかもしれません。SFの世界では、自分ひとりが残された世界では何者も変化しないという物語が紡がれたりしますが。人口の大きさは、変化量の大きさに比例するのです。

自分のことを振り返って、例えば三十年先の変わり果てた未来で、自分は今のお年寄りたちの生きざまを見習って、常に時代の変化に取り残されることなく、はつらつと生きていくことができるだろうか。そんなことを、時たま考えさせられます。

ただでさえ老眼の問題があるのに、情報端末の画面を見つめていてつらくないのか、意地悪ではなくそんな気遣いを覚えるわけですが、時代の変化にしっかりとついていく姿勢は、現代のビジネスパーソンにこそ見習ってほしいものです。

特に、顧客に対して何かしらの商品やサービスを提供する立場にある人ならなおさらです。客商売は、流行をリサーチすることが勝負の分かれ目となります。現代人が何を求めているのか、それを子細に観察する姿勢こそが、サービスの向上につながるからです。

例えとしてわかりやすいのは、音楽産業でしょうか。

今から遡ること約二十年前。1990年代は、J-POPの全盛期だったと言われています。その背景にあったのが、空前の「カラオケブーム」です。日本人の発明であるカラオケで、できる限りうまく歌いたい、そのためには流行歌のCDを他人よりいち早くゲットしたい――そう考える人が増えたからこそ、CDというパッケージ商品が飛ぶように売れました。今ではほとんど考えられないことですが、ミリオンヒットを達成するアーティストが、年間で何組も登場したような時代です。

そのような時代を経て、なぜ現代ではCDが売れなくなってしまったのでしょうか。
単純に、日本の音楽そのものが衰退したのだと考えるのは早計です。確かにそう主張する人は、専門家や素人を問わずにたくさんいるようですが、私はそんな考え方が好きではありません。音楽が衰退したのではなく、音楽を楽しむあり方が変わったのです。

楽しみ方の変化とはどのようなものなのか、それを説明するためにふさわしい例は、楽曲のダウンロード販売です。二十年前と比較して圧倒的に、インターネットの環境が整備されたからこそ可能になった、新しいビジネスモデル。タワーレコードなどに足を運んで、パッケージされたCDを購入する時代から、自宅で好きな時に好きなだけ、パソコンや携帯端末に向けて音楽を個別に購入する時代へ。

結論から言えば、楽曲のダウンロード販売というビジネスモデルは、一定の成功を収めていると判断できます。つまり、このやり方を考案した人たちは、移り変わっていく時代のあり方を見極める努力を怠らなかった、ということになります。

現在、企業の第一線で活躍している「成功者」たちは、必ずしも全員が「若者」であるとは限りません。けれども、新しい時代を切り開いていく、つまり世の中に変化をもたらそうとするのは常に若者であり、そういった年齢層をターゲットにしてビジネスを成功させようと考えるなら、時代の変化についていく努力を、絶対に怠るべきではないのです。

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