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会社も「人」?意外と知らない会社の権利とは

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2014.04.15

「人」と聞いたとき何を思い浮かべますか?自分や友達の顔なんかを思い浮かべますよね。ところが実は「人」は、いわゆる「人間」だけではないって知っていました?

「そんなバカな!」と思いますよね。確かに生物学上は「人」は「人間」以外を指しません。しかし、法律上は私たち人間以外にも「人」がいるのです。

会社は、法律上の「人」である

人間でない「人」について、民法は「法人」として第三章に定めています(ちなみに人間である「人」については第二章において定められており、法律界では「自然人」と呼称されています)。法人の代表的な例としてあげられるのが、会社です。

具体的には民法33条1項が法人について、民法やその他の法律の規定によって成立するものと定めており、会社については会社法にその旨の定めがあります。このように法律によって誕生する「人」であるから「法人」と称されるのですね。

会社の場合であれば、単に結成しただけでは「法人」とは認められず、会社法上の要件を満たして初めて認められるのです。この点、生まれただけで「人」と認められる自然人とはすでに違いがあることになりますね。

しかし自然人と同じく、会社も法律上は権利や義務を有する主体となることが認められています。会社など法人が権利主体となる理由づけには、法人は法技術上存在を認められた、いわばその存在を擬制されたものにすぎない、とする見解(法人擬制説)や、法人は実体を持つもので社会的には自然人と同じく実在するのだとする見解(法人実体説)などがあり、裁判所は法人実体説を前提としているようです。

学説上の見解の差異はあれ、実際問題として個人しか権利義務の主体となれないというのでは社会経済が円滑に進まないので、一定の要件を満たした団体は権利義務の主体となれるようにしたのですね。

とはいえ、法律上便宜的に創出された主体に対して、生まれながらに権利義務の主体である自然人と全く同じ権利を有するとしてもよいのでしょうか?

たとえば、私たち自然人には生存権という権利があります(憲法25条1項参照)。これは健康的で文化的な最低限度の生活をする権利のことで、この権利に基づいて生活保護制度などが整備されています。

しかし会社が自らの生存権を主張して、つぶれかけて大変だからと生活保護を申請するのはやはりちょっとおかしいですよね。会社にはそういう権利はないんじゃないか、と直感的に思いますね。

会社の持つ権利とは

では会社はどのような権利を持つことができるのでしょうか。最高裁判所の見解によれば、会社にはその性質上可能な限り、憲法の人権規定が保障されるとされています。

会社にはその性質上命がありませんから、前述のような命に関わる権利は認められませんし、精神もありませんから精神的苦痛を受けたことによる慰謝料を請求する権利なども当然ないことになりますね。

また性質上想定できない権利とは言えなくても、法律上で会社には認めないとされているものについては、会社はその権利を有しないこととなります。では、法律上も禁止されていない、性質上可能な権利について会社はどこまでも権利・義務を持つのでしょうか。

会社の権利義務の範囲

法人について民法34条が、定款で定められた目的範囲内においてのみ権利・義務を持つと定めています。定款とは法人における規則のようなもので、そこに記載された事業の目的の範囲内においてしか、法人は権利や義務を持たないと定められているのです。

この条文が会社に適用されるのかどうかについて議論がありますが、最高裁判所は会社にも類推適用されると判断しているようです。つまり会社が権利・義務を有するのは定款に書かれた範囲に限られると判断しているのです。

そうすると、会社が目的外の行為をした場合、会社には権利も義務も発生しない、無効なものとなってしまうわけです。この点については先ほどご紹介した法人擬制説などに基づき無効とならない見解も主張されていますが、実務上はあまり問題にならないようです。

なぜなら定款に書かれていない行為であっても、その目的を達成するために直接または間接に必要な行為も目的の範囲内として、会社の権利や義務を肯定するので、ほぼ無効になる事例が生じないのです。あまり厳密に目的の範囲を解釈して無効な行為だらけになっても困ってしまいますもんね。

この件につき、会社が政治献金をしたのは目的の範囲外の行為だとして、献金した取締役の責任を追及する訴訟が株主によって提起された事件において、定款の目的の範囲内であると判断した判例があります(最高裁45年6月24日判決参照)。

このように法律上幅広い権利を認められた会社ですが、個人の権利との調整が問題となることも多々あります。今後はその巨大さゆえに個人の権利が圧殺されないよう、運用にも十分な配慮が必要とされそうですね。

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